2022 Fiscal Year Annual Research Report
ラット初代培養肝細胞を用いた高リン刺激伝達経路の解明
Project/Area Number |
22H00943
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中井 雄治 弘前大学, 地域戦略研究所, 教授 (10321788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西塚 誠 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (00363953)
岡田 晋治 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任准教授 (50376563)
永長 一茂 弘前大学, 地域戦略研究所, 准教授 (70401891)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リンシグナル / DNAマイクロアレイ / 初代培養肝細胞 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高リン刺激が脂質代謝のシグナル伝達を解明することを目的として、ラット初代培養肝細胞を用いて遺伝子発現の変化をDNAマイクロアレイで明らかにし、その遺伝子発現を誘導する上流因子の解明を目指す。令和4年度は、ラット初代培養肝細胞の入荷が遅れた影響で、全体的にやや遅れが生じたが、まず高リン刺激の条件検討を行った。具体的には、細胞の播種条件(細胞密度)、培地に添加するリン酸塩(KH2PO4)の濃度、刺激時間および細胞回収方法である。SDラット由来初代培養肝細胞であるHEP134-Mを用い、24 well collagen coat plateに1.25×10^5、2.5×10^5の密度で播種を行い、5時間後に培地交換を行って12-24時間の前培養を行った。その後、リン酸塩含有培地に交換して、8時間、24時間と経時的に観察を行った。その結果、10 mMのリン酸塩添加では死細胞が生じること、3 mM添加では24時間経過でも顕著な異常が認められなかったこと、2.5×10^5播種では細胞が積み上がる傾向がみられることなどから、1.25×10^5の密度で播種、3 mMのリン酸塩添加(リン酸塩の終濃度4 mM)で本実験を行うこととした。また、ISOGEN II(ニッポンジーン)を用いて細胞を回収し、RNAを調製した結果、収量が十分とはいえなかったため、今後はRNeasy micro kitのbuffer RLTで回収し、カラム精製を直接行うこととした。今後は令和4年度に決定した条件で再度初代肝細胞を培養・刺激し、遺伝子発現変動をDNAマイクロアレイで解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的な情勢による流通の遅れのため、ラット初代培養肝細胞の入荷が令和4年末となってしまった。そのため予定した実験にやや遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、 まずHEP134-M細胞 を令和4年度に決定した条件で培養・刺激し、細胞からトータルRNAを回収してDNAマイクロアレイ解析を行う。取得したマイクロアレイデータをもとに、コントロール群と高リン刺激群で発現に差がある遺伝子の選抜を行う。次に、得られた発現変動遺伝子から、上流の転写因子やシグナルに関わる分子等の内在性因子/経路を予測できるIngenuity Pathway Analysisソフトウェアを用い、高リン刺激の影響を受ける転写因子や経路を推定する。今回の初代培養肝細胞の結果と、過去に解析した単回投与の結果を比較し、どの部分が共通していて、どの部分が異なるのかを明らかにする。共通している部分に着目し、検証する因子の候補を複数ピックアップする。さらに、ピックアップした候補因子ついてのノックダウン実験を、HEP134-Mを用いて行う。
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