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2022 Fiscal Year Annual Research Report

Quality improvement of plant stuff aiming for enlargement of food sustainability

Research Project

Project/Area Number 22H00948
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

松村 康生  京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (50181756)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 阿部 賢太郎  京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (20402935)
真部 真里子  同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (50329968)
松宮 健太郎  京都大学, 農学研究科, 准教授 (60553013)
石井 統也  香川大学, 農学部, 助教 (90847261)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords植物ファイバー / 植物ミルク / 高機能化 / キノコ多糖類 / 酵素処理 / 脱アミド酵素 / 分散性 / 香気成分分析
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、未利用のものも含めた植物性素材の高機能化を実現することにより、企業や消費者が食品として利用できる食品材料の選択肢を拡大することで、食料生存基盤の充実を図る。植物性素材としては、穀類、豆類、果実類、野菜類、海藻類など、多岐に渡る素材を対象とし、微細化、新規な酵素の利用、乳化、微細構造制御、フレーバーリングなど多彩な技術や手法を駆使して、高機能化を試みる。
令和4年度は、まずいくつかの穀類、豆類、野菜、果実類、海藻類などの植物性素材を取り上げ、有効に利用されていない部分や抽出素材について微細化処理を試みた。湿式微細化装置を用いて粉砕した結果、大豆オカラおよびキノコの多糖類については、その性状観察結果より、線維化(ナノファイバー化)に成功していることが明らかとなった。これらについてコロイド科学的評価を行ったところ、大豆のオカラに比べ、キノコの多糖類の方が疎水性の面でユニークな性質を有していることが分かった。また、マメ類の粉末に対し、プロテアーゼを中心とする数種類の酵素処理を行ったところ、その乳化性や起泡性について、想定していたような改善効果を得ることは出来なかった。
その他の試みとして、様々な植物種子から植物ミルクを調製する条件を確立した。得られた植物ミルクを対象に、種々の酵素で処理する際の条件(濃度、および時間、温度など)の検討を進めた。その結果、粒子径分布測定により、一部の植物ミルクについては、タンパク質脱アミド酵素で処理することによって、より微細な粒子が生成し、粒子分散性が向上することを明らかにした。
令和4年度においては、ヒトを対象とした官能評価や香気成分のリリースについては本格的な研究は実施しなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

概要で述べたように、本年度は、大豆オカラおよびキノコの多糖類から、ナノファイバーを得ることに成功し、キノコ多糖類ナノファイバーの方が、より高い疎水性を示すことを明らかにした。疎水性は乳化性や起泡性の発現に重要な要因であることから、キノコ多糖類ナノファイバーの乳化・泡沫素材としてのポテンシャルを見出したと考えている。一方、マメ類の粉末に対しては酵素処理による機能特性の改善が見られなかったので、還元糖による修飾を行った結果、粉末の分散性が向上することが示された。このことより、マメ類粉末についても、翌年度以降実施する加工機能性の評価において、優れた特性を示す可能性が示された。
いくつかの植物ミルクについては、その調製法を確立し、タンパク質脱アミド酵素によって、その粒子分散性の向上を実現できることを見出した。食品製造においては、殺菌などの目的で加熱処理が避けられないことから、植物ミルクの分散安定性に対して加熱が与える効果についても検討を進めた。その結果、酵素処理によって加熱に対する分散安定性も向上することが明らかとなった。今後、様々な加熱条件での検討を進めることにより、脱アミド酵素処理が実際の植物ミルクの加工工程でも応用可能であることが示されると考えている。
令和4年度は、研究は概ね順調に進展したが、分担者の一人である阿部賢太郎氏の死去もあり、一部サンプルの大量調製に遅れが認められた。その結果、本格的にヒトを使った官能評価や、香気成分分析の実施には至らなかった。このテーマを担当する真部真理子氏は、令和5年度の本格実験の速やかな実施に備え、官能評価に必要な器材の整備を行うとともに、香気成分分析の予備実験として、HS-SPME法採用の可・不可を判定するため、SPMEファイバーの選択、保温温度・時間などの抽出条件の検討を行った。

Strategy for Future Research Activity

ファイバー素材や粉末素材に関しては、現在までのところ、コロイド科学的評価は順調に進んでいることから、今後も種々の材料に同じ手順を適用することにより、解析を効率よく進めていきたいと考えている。具体的には、微細構造観察によって得られた知見を生かして、コロイド科学的評価の手順を一部減らすなどの効率的な実施を試みる。また、新たに溶解性、 分散性、 乳化性、 泡沫特性などの巨視的な特性を数値化し、ファイバー素材や粉末素材の加工機能性の評価を行いたい。
植物ミルク素材に関しては、令和4年度に分散性の向上が確認された酵素処理植物ミルクを対象に、昨年度、一部完了していない物性評価(ゼータ電位測定、粘度測定など)を継続して実施し、分散性向上メカニズムの詳細な理解を試みる。また、当初の予定通り、粉末試料などを対象として、分散性や乳化性、起泡性の評価を進める。
このほか、新たな試みとして、植物性ファイバーと植物タンパク質のコンポジット形成に向けた、複数素材の相溶性の検証について、共焦点レーザー顕微鏡によるミクロ構造観察、粘度測定による物性評価などを中心に取り組む。
以上の検討によって、優れた加工機能性を有すると評価された食品素材について、実際の食品を想定した分散液(サスペンション)や乳化液(エマルション)を調製し、官能評価に供する。また、それぞれのサスペンションやエマルションの喫食前、あるいは喫食後のフレーバーリリースを評価するため、オルトネーザルあるいはレトロネーザル条件における香気成分分析を行う。官能評価や香気成分分析に必要な大量のサンプルの供給に、他グループが対応出来ない場合は、一部市販の多糖類ナノファイバーや植物ミルクを購入することも考えている。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 乳化の基礎から応用まで ー特に微粒子素材による乳化についてー2022

    • Author(s)
      松村康生
    • Organizer
      日本油化学会実践油脂講座2022
    • Invited

URL: 

Published: 2023-12-25  

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