2023 Fiscal Year Annual Research Report
学びのプロセスと日本語書記史を統合する学習内容・学習材・学習方法の開発と検証
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22H01005
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 恵 新潟大学, 人文社会科学系, フェロー (60163010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏幸 安田女子大学, 文学部, 客員教授 (40278966)
松崎 正治 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (20219421)
磯貝 淳一 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40390257)
森 美智代 福山市立大学, 教育学部, 教授 (00369779)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 言語文化共同体 / 古典教材開発 / 学習方法開発 / 学習内容開発 / 論理的思考力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学びのプロセスと日本語書記史を統合する学習内容・学習材・学習方法の開発と検証を目的とする。特に、日本語の歴史的変遷を背景とした「我が国の言語文化」の内実を解明し、それに基づいた学習内容・学習材・学習方法の開発を目指す点に特色がある。 本研究においては、国語教育学・日本語学の研究者が密接に連携を図りつつ、研究を進展させる。3年間にわたる研究期間中、調査、仮説・検証、成果の共有と発信のように、段階を追って進める。令和5年度は、前年度に引き続き研究課題に関わる基礎的な研究を行った。 国語教育学領域では、教育研究・実践から見た思考様式(ものの見方・考え方)の解明を担当した。ものの見方・考え方に関連する研究・実践を、論理的な思考力だけでなく、異化効果やアフォーダンス等、情緒的(感性的)な思考力をも含み込んだものとして考察を進めた。令和5年度は、特に①諸理論の検討、②研究授業などを行った。 日本語学領域では、特に日本語書記史から見た日本語の思考様式(ものの見方・考え方)の解明を担当した。令和5年度は、特に①書記の複層性の実態調査(原典調査)、②書記体の発掘(文法構造等の比較)などを行った。 また、第145回全国大学国語教育学会2023年信州大会(11月4日、信州大学)において、森美智代と磯貝淳一が「私と古典がつながる日本語書記史の授業化ー書き手として言語と向き合うリライト活動を通してー」と題する自由研究発表を行った。これは前述の研究授業を踏まえたものである。「言語文化共同体に参入を促す教材」を開発することを目的として、学習対象となる言語文化共同体をどのように措定するべきか、『今昔物語集』的な文章と『宇治拾遺物語』的な文章を用いてリライト活動を行いつつ、言語文化共同体への「参入」を促そうとするものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、学習者の「読み・書く」言語活動における思考(ものの見方・考え方)の深化を可能にする古典の学習を提案する。そのために、言語文化共同体に生きる学習者という視点から、過去の言語文化共同体の内実を解明し、現代の言語文化共同体との間を行き来する学習者を実現するための学習内容・学習材・学習方法の開発と検証を目指した。それには、複数回にわたる打ち合わせ会と十分に時間をかけた協議により、メンバー全員の理解の深化と、理論面の構築を図る必要がある。 令和5年度は、第1回打ち合わせ会を9月9日・10日に、新潟大学駅南キャンパス(ときめいと)にてハイブリッド方式で行ったほか、第2回打ち合わせ会を令和6年2月11日・12日に、同志社女子大学京田辺キャンパスにて完全対面方式にて実施することができた。 また、概要でも述べたように、第145回全国大学国語教育学会2023年信州大会(11月4日、信州大学)においては、森美智代と磯貝淳一が共同研究発表を行ったほか、田中宏幸は「昭和初期高等女学校における作文教育の理念と方法―新資料・金子彦二郎『現代女子作文教授資料』(教師用指導書)をめぐって―」、松崎正治は「教師教育研究を通して見えてくるこれからの国語教育学研究の構想」と題する研究発表を行った。 以上により、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、学びのプロセスと日本語書記史を統合する学習内容・学習材・学習方法の開発と検証を目的とする。具体的には、日本語に特有の「ものの見方・考え方」に着目し、① 国語教育学で研究・実践してきた思考様式(ものの見方・考え方)の解明、及び日本語話者としての学習者のものの見方・考え方の解明、② 日本語学(特に日本語書記史)から見た日本語のものの見方・考え方の解明、③ 日本語固有のものの見方・考え方と言語文化共同体の解明、④「書くこと」の教育のための学習内容・学習材・学習方法の開発と検証、を中心とした研究を行う。 本研究では、国語教育学・日本語学の研究者が密接に連携を図りつつ、研究を進展させてきた。令和6年度は本研究の最終年度に当たるため、これまで積み重ねてきた研究の総まとめを実施し、冊子体での報告書の作成を予定している。
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Research Products
(23 results)