2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research and study on the expansion and utilization of the database of drawing and handicrafts textbooks in the Meiji, Taisho, and early Showa periods
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22H01007
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤木 里香子 岡山大学, 教育学域, 教授 (40211693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 拓朗 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 主任学芸員 (80435825)
金子 一夫 茨城大学, 教育学部, 名誉教授 (70114014)
山口 健二 岡山大学, 教育学域, 教授 (90273424)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 美術教育史 / 図画科 / 手工科 / 教科書データベース / 臨画 / 鉛筆画 / 毛筆画 / 国吉康雄 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、データベースの拡充を図るとともに、データベースを活用した教育プログラムの企画開発を中心に研究を進めた。 1.データベース拡充について 研究分担者の機関所蔵および個人所蔵の図画手工教科書や、協力を申し出ていただいた個人所蔵家の蔵書を中心に、新たに既存システムに組み込む画像データの撮影および書誌事項等の採取を進めた。特に研究分担者の蔵書について、撮影およびExcelファイルのデータ作成に取り組んだ。昭和戦前期までの初等教育用国定図画手工教科書についてのデータが得られたが、データベースへの導入作業自体は来年度になる予定である。 2.教育プログラム開発について 本研究におけるデータベース構築が意図するところは、近代日本図画手工教科書が有していた森羅万象の図像の提示と、それらを見て描く、また描かれたものを見るという視覚体験の提供を試みることである。その一環として今年度は、研究代表者が兼担している岡山大学学術研究院教育学域「国吉康雄記念・美術教育研究と地域創生寄付講座」(2015年設置)が実施した「国吉祭 2022 CARAVAN in 和気町」(日時:2022年11月19日11:00~16:00、場所:ENTER WAKE(エンターワケ)岡山県和気郡和気町福富)に参加し、岡山市出身の画家国吉康雄が高等小学校在学中に使用したと思われる明治30年代の毛筆画教科書を中心に近代日本図画手工教科書データベースのデモ展示を行った。同時に、明治期毛筆画教科書の図様から、和気にゆかりある「藤」や「鯉のぼり」、和気清麻呂風の古代衣装の人物像等をピックアップし、これらを手本として見ながら、毛筆を使って水墨で描くというワークショップを実施した。小学生から70歳代まで約20人の参加を得た。国吉康雄はアメリカで活躍した画家であるが、高等小学校図画科や工業学校染織科では毛筆画を学んでいたことも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近代日本図画手工教科書データベースに追加するデータの収集については、研究分担者による資料の提供や新資料の入手等により着実に進めることができた。新規データのデータベースへの導入については、専門業者との協議を経て、計画通り来年度実施する見込みである。 しかし、その一方でコロナ禍の影響により、当初計画していた美術館等の社会教育施設におけるワークショップ実施や、学校教育機関における授業の実施は不可能となった。また多目的スペースで実施できたワークショップについても、規模を縮小せざるを得なかった。その結果、データベースを活用した教育プログラム開発に関する展開については遅れている。 総合的に、本研究課題の進捗状況は、やや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.データベースの拡充について 明治・大正・昭和戦前期という幅広い時代をカバーしうるよう、着実にデータ収集を進める。また、初等・中等・高等教育の接続に着目し、図画科・手工科と工芸学校や工業学校との関係を視野に入れて、扱う資料の範囲を拡げることも考慮する。またデータベースの既存システムに見られる不具合を解消してより安定した使いやすいシステムとすることが求められる。さらに、他機関のデジタルアーカイブとの連携を模索する段階に入りたい。専門業者との協議の機会を増やし、計画的に対応する必要がある。
2.教育プログラム開発について 博物館・美術館を中心とした社会教育と、小学校から大学等の高等教育機関を含む学校教育の、二部門に分けて教育プログラム開発を行う方針は維持する予定である。ただし両部門ともに、何を目的として取り組むか、プログラム内容の意義を問い直す必要がある。近代日本図画手工教科書が提示する森羅万象の事物を「見る」ことと、実際に対象を観察して「描く」ことが、どのように関連づけられていたのかについて、掲載された図様のみならず「凡例」や「序言」等に記載された内容も踏まえて再検討したい。
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Remarks |
メンテナンスのため、一時的に停止する場合があります。
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Research Products
(6 results)