2022 Fiscal Year Annual Research Report
学生の学業継続および退学予測モデルの構築に関する実証的研究
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22H01025
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小湊 卓夫 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (30372535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 宏司 山形大学, 法人本部, 教授 (30790563)
田中 秀典 宮崎大学, IR推進センター, 准教授 (50529253)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リテンション / IR / 退学 / 社会的統合 / 学業面の統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学教育プログラムを開始したものの、学業上のあるいは個人的な目標を達成できなかった学生の研究(リテンション研究)が1970年代から盛んにおこなわれるようになり、多様な学業継続モデル(Student Persistence Model)、学生退学モデル(Student Attrition Model)が提唱され、学業継続や退学に影響を及ぼす要因間の相関関係の解明や退学予測モデルとし活用されている。本研究ではその中でも、リテンション研究に多大な影響を与えたTintoの学業継続モデルを取り上げ、その中心的概念となっている「統合」概念とTintoモデルの日本の大学への適用可能性を検討した。 日本でもある個人の測定された能力や社会的地位、心理的側面が、大学を辞める確率にどの程度関係しているかを知るという観点から多くの研究がなされているが、これらの属性が大学を中退する過程にどのような影響を与えるかを理解することは出来るものの、大学を中退するプロセスはどういったものなのかを理解することにはつながらない。そのため様々な個人や大学の特性を大学中退のプロセスに関連づける理論的な縦断モデルの開発を必要がある。Tintoのモデルは退学プロセスを説明するための縦断的理論モデルとして提示されている。しかし、米国と日本との高等教育の背景や環境が異なることを踏まえると、単純な理論の適用には困難を伴う。 適用において注意すべき点として、日本では学生の大学大学間移動の少なさと退学率の低さをもたらす要因に加え、学外における学生の学業と社会との相互作用の要因について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リテンション研究における国内外の文献レビューを行い、Tintoの学業継続モデルの背景と内容を整理し、当該モデルの日本への適用を検討した。その際、Tintoモデルが前提としている条件と日本の大学を分析する際の条件が異なるため、その整理を行った。その具体的な内容として、日本では学生の大学大学間移動の少なさと退学率の低さをもたらす要因に加え、学外における学生の学業と社会との相互作用の要因が挙げられる。 ただしこれらの要因は複雑な相互作用を有しており、要因間の関連性と時間的プロセスにおける影響を明確に示せてはいない点が課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
Tintoの学業継続モデルの日本への適用について、その拡張モデルのあり方を検討する。日本における退学研究は心理的アプローチと社会学的アプローチに分類されるため、後者の文献のレビューをさらに進めながら、拡張された概念モデルの構築を検討する。 併せて、大学の中で実施した学生を対象としたアセスメントの結果を分析し、拡張された概念モデルの簡易的な検証を行う予定である。簡易的という限定がつくのは、利用可能なデータに強い制約や収集困難性があるためである。
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Research Products
(6 results)