2022 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study and Experimental Use of Micro-Credentials at Higher Education Institutions in Asia and the Pacific
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22H01027
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
芦沢 真五 関西国際大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (00359853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 雅裕 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科(日吉), 特任教授 (50407227)
米澤 彰純 東北大学, 国際戦略室, 教授 (70251428)
太田 浩 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 教授 (70345461)
池田 佳子 関西大学, 国際部, 教授 (90447847)
関山 健 京都大学, 総合生存学館, 准教授 (90583576)
本田 直也 大手前大学, 現代社会学部, 准教授 (70411767)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 就業力 / マイクロクレデンシャル / 東京規約 / デジタルバッヂ / 国際教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、比較的短期かつ特定領域の学修成果を認証する「マイクロクレデンシャル」(以下MC)が、日本とアジア太平洋地域においてどのように普及しているかを調査し、MCの運用状況とニーズを把握するとともに、質保証と国際通用性を伴うMCを運用するための要件定義を明らかにすることを目的としている。この目的達成のため以下の取り組みをすすめている。 ①アジア太平洋諸国におけるMCの運用及びニーズに関する調査 ②質保証と国際通用性を伴うMC運用ガイドラインの策定 ③アジア太平洋地域の大学ネットワークを基盤として当該ガイドラインの有用性にかかわる実証実験 本研究でおこなったヒアリングにおいて、民間の企業や団体から発行されるMCに加えて、大学が発行する多様なMCの実態が明らかになってきた。オーストラリアのWestern Sydney Universityなどでおこなったヒアリングにより、MCガイドラインとMC普及のための政府の取り組みの内容が明確になった。オーストラリア政府は、「マイクロクレデンシャルに関する国家フレームワーク」(2021年11月)を公表しているが、このMC国家フレームワークはさらに、大学等の機関が発行するMCをオンラインで情報公開し、利用者が容易に検索できるように、“Microcred Seeker”というデータベースを構築している。日本国内でもMCを発行するための準備作業が進行している。オールジャパンの取り組みとしては、JVキャンパス(Japan Virtual Campus)においても、MCを発行するための専門部会が設定されており、オンライン教育プラットフォームの中で学習成果の証として、MCをビルトインする試みが始まっている。本研究代表者はこの専門部会のメンバーとして参画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度においては、ユネスコ、OECDなどの専門家と連携し、世界的に運用が拡大されつつある、マイクロクレデンシャル(以下MC)の実情を把握するための調査を実施した。ユネスコは世界中の実用例をもとに、MCの定義について報告書をまとめてきた(UNESCO, 2022)が、OECDも高等教育機関での利用状況を調査してきた。本研究でおこなったヒアリングにおいても、民間の企業や団体から発行されるMCに加えて、大学が発行する多様なMCの実態が明らかになってきた。特徴的な発行形態としては、複数の大学が連携してMCを発行するケースや、多様なMCを発行するにあたり、カリキュラムとの整合性を考えて、積み上げ可能(Stackable)な形式とするために学習成果を構造的に説明する体制をとっている。一方で、学位を必要としない社会人などにとっては、MCは自己の就業力を高めるため、リスキル・アップスキルの手段として活用されることになる(井上ほか、2023)。 オーストラリアのWestern Sydney Universityなどでおこなったヒアリングにより、MCガイドラインとMC普及のための政府の取り組みの内容が明らかになった。オーストラリアでは、大学等の機関が発行するMCをオンラインで情報公開し、利用者が容易に検索できるように、“Microcred Seeker”というデータベースを構築している。 日本国内でもMCを発行するための準備作業が進行している。オールジャパンの取り組みとしては、JVキャンパス(Japan Virtual Campus)においても、MCを発行するための専門部会が設定されており、オンライン教育プラットフォームの中で学習成果の証として、MCをビルトインする試みが始まっている。本研究代表者はこの専門部会のメンバーとして参画している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度においては、ユネスコ、OECDなどの公的機関との協働調査を進める一方、アジア太平洋地域のマイクロクレデンシャル(以下MC)の運用状況を把握し、日本でのMC導入にかかわるガイドラインやGood Practiceの設定のために継続的な研究をすすめる。特に、ユネスコアジア太平洋地域教育局は各国の専門家を招聘した国際調査チームを拘置しているが、本科研メンバーもこのチームに合流しており、国際共同研究として発展しつつある。 こうした公的機関との連携に加えて、アジア太平洋地域の大学、民間の企業、政府機関などにヒアリングを独自に実施し、運用状況の把握をおこなう。オーストラリアについては運用面での進展が加速していることから、引き続き調査を継続する。特に、“Microcred Seeker”に掲載されている各大学のMCの形態、学習期間、学習成果などの特徴を分析する。また、マレーシア、タイをはじめアジア諸国でのMCの運用状況についても調査を進める予定である。 日本における運用に関しては、日本の大学におけるオンライン協働教育の公式プラットフォームとして、JVキャンパス(Japan Virtual Campus)の取り組みが進展している。JVキャンパス上でMCを発行する準備がすすんでおり、本科研としてもJVキャンパスにおけるマイクロクレデンシャル専門部会(本科研代表者がメンバー)と連携して、ガイドラインの策定などに協力していく。2023年度において、日本におけるMCのプロトタイプが立ち上がる予定であるが、これを契機として、諸外国との比較研究をすすめていくことを計画している。 さらに、研究の成果を国際教育夏季研究大会(SIIEJ)、日本比較教育学会、日本高等教育学会などを通じて国内外に発表していく予定である。
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