2022 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Research with Public Finance Data on Shifts in Public Higher Education Policies
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22H01028
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institution for Academic Degrees and Quality Enhancement of Higher Education |
Principal Investigator |
水田 健輔 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (30443097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 清 鎌倉女子大学, 学術研究所, 教授 (60240090)
島 一則 東北大学, 教育学研究科, 教授 (70342607)
白川 展之 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (20556071)
渡部 芳栄 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60508076)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高等教育 / 財政 / 政策 / 実証研究 / 資源配分 / 国立大学 / 公立大学 / 法人化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度については、公的大学の政策転換点のうち、特に公立大学の法人化に関して、計量的な分析を進めた。具体的な実績は、以下の3つである。 1つ目は、公立大学実態調査データをもとに、法人化前後の5年間で設置自治体負担額がどのように変化したかについて分析したものである。具体的には、法人化前後の設置自治体負担額が増加傾向にあったか、減少傾向にあったかにより4パターンの組み合わせに分け、法人化前に増加傾向であったものが法人化後に減少傾向に移ったものを「財政効率化」、逆の傾向を「高等教育振興」と政策目的を解釈した。法人化については、財政効率化手法の1つとして論じられることが多いが、この分析で高等教育振興を目的とした大学も11大学あることが確認された。また、重回帰分析の結果、法人化年度が新しく、設置自治体の首長の当選回数が多いほど、財政負担を増やす傾向にあることが明らかとなった。 2つ目は、設置自治体の地方財政状況調査表における「教育費-大学費」に計上された経常的経費の推移を動学的共通因子モデルで分析したものである。結果として、法人化とその直後に経費水準が上昇し、その後、緩やかに下降するような共通因子を抽出することができ、法人化がもたらす財政負担のベクトルが明らかとなった。 3つ目は、公立大学実態調査データの経費細目の法人化前後における増減や変化率について、大学の属性により有意差が生じているかを確認したものである。総じて、諸経費や設置自治体負担の増加傾向は、市立大学の方が県立大学よりも強く、また学長と理事長が同一ではない大学の方が同一である大学よりも強いことが明らかとなった。 このように、本研究の初年度は財政データの動きに関する分析を進めたが、次年度は公立大学および設置自治体にアンケート調査を実施し、定性的データを収集して、財政データの動きを跡付けるような形で分析の充実を図る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象については、公的大学のうち公立大学に集中する形で進められており、国立大学に関する研究ついては、各研究メンバーが個別に進めている。当初の実施計画と比較して、国立大学の研究がプロジェクト総体としてあまり進められていない点を評価し、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究により、公立大学に関する研究課題が当初想定していたよりも大きく、また深いことが判明した。よって、研究の範囲を広げるよりも、公立大学に関する研究を深耕することで、より重要な成果が得られるものと思われるため、次年度も引き続き、研究対象として公立大学に焦点をあてる方向で検討する。
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