2023 Fiscal Year Annual Research Report
The standardization of the Test of Pragmatics of Japanese for Children
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22H01032
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大井 学 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 協力研究員 (70116911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槻舘 尚武 山梨英和大学, 人間文化学部, 准教授 (80512475)
水谷 柳子 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 博士研究員 (90963588)
橘 雅弥 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 准教授 (10722952)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 語用能力 / オンライン検査 / 標準化 |
Outline of Annual Research Achievements |
TOPJCの標準化のために、月齢を説明変数とし、語用能力が年齢とともに発達することを適切に表す回帰モデルを探索的に検討した。交差検証で複数のモデルを比較した結果、標準化のためのモデル選択として、より単純な、2次の多項式回帰モデルと変数変換データに対する線形回帰モデルを候補とした。異常検出による外れ値の考慮と外的基準による妥当性の評価による最終的なモデル選択の準備が整った。正答率の推移パタンの類似度計算により「比喩」と「丁寧」、「皮肉」と「間接依頼」、「その他」の3つのクラスタを得た。「皮肉」と「間接依頼」でのクラスタ形成は15歳時点での正答率が直近の年齢より下がるという特徴を捉えた。この点については、発達にともなって特定の設問の解釈が難しくなる可能性が浮上した。性差については、各指標において6歳から10歳のいずれかの時期で女児が男児の正答率を上回ることが目立ったが、「間接依頼」では年齢を経る過程で男女差は交互に逆転する推移を示し,一貫した傾向はなかった。自閉スペクトラム症のサンプルは前年度より若干積み増しすることができた。最終目標の200名には至っていないが統計処理に十分耐えるサイズとなった。難聴児対象のデータ収集は発現率の低さもあり、その積み増しがゆっくりで、まだ統計処理に適したサンプルサイズに到達していない。台湾版(TOPTC)の作成を完了し、台湾の共同研究者と協力して標準化サンプル約750名のデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究全体はおおむね順調に推移しているが、本体のTOPJCの粗点ー評価点換算表の作成が年度内に完了できなかった。これは、研究の性質上、データの特徴を最大限適切に表現できる回帰モデル候補をいくつか探索施行したためである。この作業は検査としての信頼性・妥当性を最大限に担保する大前提であり、やむを得ないものである。なお、これにともなって、評価点ベースのデータ処理に基づく研究報告・論文作成が一定程度遅れており、今年度にそれを取り戻す努力が求められるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
TOPJC標準化の根幹である粗点ー評価点換算式の最終確定を可能な限り早急に行い、一定の遅れを取り戻すために、オンラインに加えて研究代表者と分担者3名の対面協議を早い時期に開催し、研究実施の詳細をつめる。そこではあわせて、評価点に基づくカットオフ算出、感度と特異度の特定、性差と検査課題差、日本版子どものコミュニケーションチェックリストCCC-2とのバッテリーのもつ自閉スペクトラム症の判別性能の検証計画を確定する。台湾版の標準化と粗点-評価点監査式確定、それに基づく語用能力発達の日台比較研究の計画と実施のために、オンラインのみならず台湾の共同研究者を交えた対面協議を二回程度開催する。
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