2022 Fiscal Year Annual Research Report
博物的知能育成のための博物館学習モデルの構築と学習支援環境の開発
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22H01056
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 孝治 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 准教授 (60583672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 千晶 聖心女子大学, 現代教養学部, 講師 (00814336)
堀 雅洋 関西大学, 総合情報学部, 教授 (60368199)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 絵画鑑賞 / 鑑賞ワークショップ / 創造性 / 認知的制約 / メタ認知 / 古墳出土品 |
Outline of Annual Research Achievements |
博物館でのワークショップについては、当初の想定に反し、新型コロナウィルスの感染拡大による影響に伴い、ワークショップの広報で十分な集客を得ることができなかったため、計画・広報を再検討する必要性に迫られ、補助金繰越後に2023年9月に「国立科学博物館地球館」で実施した。また、その効果測定のための創造性の自動採点法開発の調査を、二つの大学で実施した。 鑑賞教育ツールの開発については、作品細部への着目を促す鑑賞支援立方体パズルを開発し、申請段階で既に連携実績のあった「堺市立文化館アルフォンス・ミュシャ館」において、その効果の調査を行った。また、「絵画に潜り込む感覚」に着目したVRコンテンツを開発した。そのコンテンツの一部は、作品として出展としたコンテスト(にいがたデジコングランプリ)でグランプリを受賞した。さらに、本課題の主たる実践現場の一つである歴史博物館の事前学習を想定し、古墳出土品検索アプリを用いた探索的な知識構成過程に関する検討を実施した。また、一つのデザイン手法(アイソメトリックデザイン)を心理学・メディア情報学といった複数の観点から学ぶ教材を開発し、その効果の調査を行った。これらの研究結果を国内研究会で口頭発表を行った。 博物的思考スキルの構成については、その構成能力の一つであるメタ認知能力を学ぶ動機づけを高める手法を開発し、教育プログラムとして実践した。この研究結果を国内研究会で口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
博物館でのワークショップについては、予定より遅延したものの補助金繰越後に実践することができた。鑑賞教育ツールについては、着眼点への気づき、作品への没入感覚、多面的検索による知識構成、複数の学問知を関連させた理解など、多種多様なアプローチを検討することができた。これらのなかで、博物的思考スキルの構成能力の一つである、創造性とメタ認知についての検討も進んでいる。今年度の実績については、年度内に複数の国内研究会で発表を行うことができた。そのなかで、特に有用な結果が得られた、作品細部への着目を促す鑑賞支援立方体パズルの開発(着眼点への気づき)と、メタ認知能力を学ぶ動機づけを高める手法の開発については、次年度に学術雑誌への投稿を計画している。以上のことから、本事業はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
学習対象とする展示資料・博物館を個別としたり複数としたりしながらのWeb学習における検索活動を通じて仮説推論から包括概念を創出するプロセスを、主体的な試行錯誤を伴う学習活動として取り入れた学習モデルを、実際の博物館での学習活動との整合性を考慮しながら学習モデル初期版を構築する計画である。 本研究の計画段階で、堀(分担)が博物館と協力して開発した「須恵器マップアプリ」で採用されている多面的情報検索(博物館の所蔵品ディジタルアーカイブの知識体系である多面的分類体系)を基盤とした学習支援システムを発展させる。 また、創造性課題の自動採点システムの開発や妥当性チェックのための心理尺度の調査を継続して実施する。
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Research Products
(4 results)