2023 Fiscal Year Annual Research Report
自分とは異なる他者と学び、育つ: 「多文化包摂コンピテンス」の発達過程と教育支援
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22H01080
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中谷 素之 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (60303575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝川 藍 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (50633492)
野村 あすか 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 准教授 (90747586)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 多文化包摂コンピテンス / 発達的多様性 / 文化的多様性 / 幼児 / 児童 / 発達的変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
急速なグローバル化が進み、また子どもの個性を重視し尊重する社会動向に伴って、わが国の教育場面では子どものもつ多様性への注目が集まっている。 本研究では、『多文化包摂コンピテンス』という新たな観点から、自分とは異なる他者への包摂、受容の能力の形成と発達、その教育的意義について検討している。今年度の研究では、これまでの小学校における児童期の縦断的調査を継続するとともに、幼児期の発達における個別調査による検討を行った。その成果は国際学術誌(査読誌)に1編、国内学会発表1件となった。 幼児研究では、3、4、5歳の幼児において、ルールを守らない他者に遭遇した場面で、どのような感情をもち、かかわりや規範意識などの認知について、個別の面接調査によって聞き取り、評価した。どの年齢段階においても、他者にルールを守るべきであると考えていることは共通しているが、5歳児においては、ルールを守る「理由」に関して、集団志向あるいは他者志向による理由をあげるなど、発達による違いも認められた。このような成果は、日本教育心理学会第65回大会(オンライン開催)による学会発表でも示されているものである。 加えて、小学校における調査実施は順調に継続しており、その成果は次年度以降に検討されている。また図書では、教育心理学において、多文化包摂コンピテンスを一部扱った章を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幼児・児童・生徒の多文化包摂コンピテンスの概念とその測定、その発達は、グローバル化が進み、個性を重視する教育的、社会的醸成のなかで、特に重要な意味をもつ。今年度の研究では、学校教育においては、これまでの小学校での縦断的調査を継続するとともに、幼児を対象に、場面想定による個別調査によって、皆が守るルールを守っていない他者に対する意識、理解、認知について、発達的な検討を行い、興味深い結果を得ており、順調な研究進捗が認められる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究全体の進捗は、現時点で順調で、今年の幼児調査において、国際誌や専門学会、専門の図書に成果があらわれるなど展開してきている。今年は国際学会参加など研究資料収集にも費用がかかり、短期的には成果として表れにくい部分もあるが、今後の研究の推進においても、同様に研究計画を踏まえた進捗、展開を目指していく。
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