2023 Fiscal Year Annual Research Report
A longitudinal study of age-related changes in emotion regulation and trust and their relationship to social connectedness
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22H01081
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
増本 康平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20402985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 隆晴 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (10396822)
佐藤 幸治 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20584022)
原田 和弘 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (50707875)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 加齢 / 信頼 / 利他行動 / 感情調整 / ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目的は,加齢が感情調整,他者への信頼,利他行動に及ぼす影響を生物学的要因,心理的要因をふまえた上で心理実験により明らかにすることであった。 昨年度に実施した縦断調査で回答を得た高齢者の中から抽出した100名(平均年齢73.40, SD = 5.09)と,コントロール群とした大学生100名(平均年齢20.55, SD = 1.77)を対象とした。 感情を喚起する画像を呈示し感情調整を求める課題,尺度による他者への信頼,募金課題を用いた利他行動,WAIS-4を用いた認知機能の測定を実施した。また,オキシトシン,バソプレシンといった他者への信頼や利他行動への関連が示唆されているホルモンを唾液から計測した。 実験の結果,募金課題から,高齢者は若年者よりも利他的に行動することが示された。一方で,募金課題から測定した利他行動に唾液中オキシトシン・バソプレシン濃度は関連していなかった。他者への信頼についても年齢群に有意差がみられ,高齢者の方が他者を信頼しており,また,高齢者の他者への信頼はバソプレシン,オキシトシンとも正の有意な相関がみられた。また感情調整については,年齢群と感情調整条件の交互作用が有意であり,若年者の方が高齢者よりも抑制による感情調整の程度が大きい一方で,反芻では感情調整の程度に年齢差がないことが示された。加えて,年齢群と感情価の交互作用が有意であり,若年者はポジティブな感情をネガティブな感情よりも大きく調整する一方で,高齢者は感情価によって差がないことが示された。来年度以降は,変数間の関連性をより精緻に解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験,調査は予定通りすすみ,研究成果を順調に発表できているため
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度であり,これまでの結果をふまえて必要な追加実験および調査を実施する。 本研究の一つ目の目的である「加齢に伴う感情調整の促進は他者との交流にどのように影響するのか?」については,2022年度に実施した調査対象者に対して再度調査を実施する予定である。 二つ目の目的の「なぜ高齢期に他者を信頼する傾向が高まるのか?」については,実験は昨年度に順調に終了しているため,今年度は生化学指標を含めた解析をふまえて,成果を学会,学術誌に報告する。
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