2022 Fiscal Year Annual Research Report
批判的思考が「対集団」の生徒理解を促すプロセスの解明
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22H01082
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中島 健一郎 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (20587480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 博義 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (20556469)
山中 真悟 福山市立大学, 教育学部, 講師 (10845465)
難波 修史 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, 研究員 (20845961)
神原 広平 同志社大学, 心理学部, 助教 (70881259)
清水 陽香 西九州大学短期大学部, その他部局等, 講師(移行) (30851414)
重松 潤 富山大学, 学術研究部人文科学系, 講師 (20910227)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 生徒理解 / 対人関係 / 批判的思考 / 授業研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに研究代表者は、保育者養成校の学生を対象にした調査研究を行い、教師役の学生の批判的思考の能力が高いほど、Wits(e.g., 植阪他,2017; 植阪・中川, 2012)により算出されたαが1に近づく、言い換えれば「対集団」の他者理解が正確なことを示唆する結果を得ている(中島, 2021)。この成果を踏まえ、2022年度は主に次の3点に取り組んだ。 まずαが「対集団」の生徒理解の指標として有用なことを確認するための調査研究である。具体的には「対個人」の他者理解の正確さに関する指標(アジア版まなざしから心を読むテストの得点; 野村他, 2006)とαとの間に正の関連があることを、保育者養成校の学生を対象にした調査研究のデータを用いて検討した。分析の結果、この関連は認められず、αの妥当化には課題が残された。一方で、αがコミュニケーションスキル尺度(ENDCOREs; 藤本・大坊, 2007)の関係調整因子の尺度得点との間に正の関連を持つことが示され、αの特徴把握のための研究を継続する必要性が示唆された。次に「対集団」の生徒理解を調べるための、研究用の授業動画を作成した。これまでの研究で用いた授業動画は臨床心理学系の内容であり、この動画のみを用いて研究を継続した場合、得られた知見の一般化可能性に疑義が残る。これを解決するために、保育者養成系の学科に所属する女子大学生に協力を依頼し、教育・発達系の内容を題材とした授業動画を作成した。最後にαに代わる別指標の有用性に関するシミュレーション研究を行い、その内容を論文化した。この論文を2023年度に国際誌に投稿するとともに、関連の国内学会で発表を行い、フィードバックを得る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画とは異なる研究展開となっているものの、新しい研究用の授業動画が準備できただけではなく、研究成果の投稿準備ができた点、そして後述するように2023年度の調査・面接研究の計画が具体化している点を踏まえ、「おおむね順調に進展している」と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の研究成果を踏まえ、2023年度は主に次のふたつの研究に取り組む。ひとつは前年度に作成した授業動画を用いた調査・面接研究である。2つの保育者養成校の学生を対象に、Witsのαならびに上述した別指標と「対個人」の他者理解の正確さの指標の各々の関連について検討する。これはαと別指標の妥当化を目的としている。さらに、これらの指標と批判的思考の能力との関連を検討したうえで、他者理解が得意な学生と不得意な学生を対象に半構造化面接を実施する。他者の心的状態の推測プロセスに関する質的データを収集し、推測プロセスの仮説モデルを構築するためである。もうひとつは、高校教員を対象にした調査研究である。ここでは2023年度実施される大学入学共通テストの受験者の回答パターンを題材に現職教員を対象にした検討を行う。学生ではなく、現職教員のデータを解析・考察することで、これまでの研究成果以上の実践的意義を得ることを目的としている。以上の研究を円滑に進めるために、関連研究の渉猟や既存データの追加分析、さらには研究グループによる定期的な打ち合わせを実施する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Application of the symbolic regression program AI-Feynman to psychology2023
Author(s)
Miyazaki, M., Ishikawa, K., Nakashima, K., Shimizu, H., Takahashi, T., & Takahashi, N.
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Journal Title
Frontiers in Artificial Intelligence
Volume: 6
Pages: 1-7
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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