2022 Fiscal Year Annual Research Report
学校・家庭教育環境が子どもの創造性発達に与える影響の横断・縦断研究
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22H01085
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
石黒 千晶 聖心女子大学, 現代教養学部, 講師 (00814336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 暢 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (10801631)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 創造性 / 学校 / 家庭 / 縦断研究 / 横断研究 / 創造的自己 |
Outline of Annual Research Achievements |
IoTやAI等の第4次産業革命が起き、教育においてはヒトならではの能力として創造性がより注目を集めている。しかし、学校などの教育現場で創造性を育むことの難しさも同時に知られるようになっている。では、子どもの創造性はどのような環境の中で促進されたり、阻害されたりするのだろうか。本研究は小中高生の創造的自己の発達に着目して、学校や家庭環境が子どもの創造性発達にどのように影響するかを明らかにすることを目的としている。 これらの問いの検討のためには、子どもや保護者・教師への横断・縦断調査を行う必要がある。そして、こうした調査に必要な尺度開発や詳細な仮説生成が不可欠である。しかし、本邦には創造性に関わる尺度が限られており、子どもや保護者・教師を対象とした尺度はさらに限られる。そのため、まず子どもの創造的自己信念や創造的行動を測定する尺度を既存尺度を参考に翻訳・作成、調整した。 次に、学校や家庭環境としては、保護者や教師が子どもの創造性についてどのような価値観、態度を持ち、行動するかを測定する方法を検討した。先行研究をレビューした結果、創造性に関わる保護者や教師への調査は近年も行われているものの、いずれも西洋圏のものであり、日本などのアジア圏での学校や家庭環境に馴染みにくいおそれがあった。そのため、改めて保護者や教師の創造性教育への態度に関わる予備的な調査を複数行った。そして、調査結果をベースにしながら保護者を対象とした創造性教育に関する調査を計画した。この調査を行うことで、保護者の創造性教育に対する態度や価値観、実際の家庭での創造性支援などについて測定尺度の妥当性・信頼性を確認することができる。さらに、それらの価値観、態度、行動の関係性についても検討することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の後半に保護者や教師の創造性教育への態度を測定する方法を検討していたところ、測定尺度自体が限られている上に、家庭や学校環境の影響についての研究も限られていることがわかった。こうした測定方法の検討や仮説の精緻化を行った。保護者や教師に関わる予備的な調査を追加し、日本の保護者や教師の価値観に合わせた尺度開発を進めることができた。さらに、学校や家庭環境の影響についても既存の研究を整理したことで、本研究で焦点を当てるべき要因を明確化することができた。こうした仮説や測定方法の精緻化によって、保護者や教師を含む調査の緻密な計画を立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
学校や家庭環境の影響について仮説を整理することができたので、今後はそれをもとにいくつかの横断調査を行い、縦断調査の計画を精緻化する。まず、家庭環境については保護者を対象とした調査を予備的に行い、保護者の創造性教育に対する価値観や態度、行動の関係を理解する。これらの調査で明らかになったことを踏まえて縦断調査のデザインも具体化する。また、保護者や教師の創造性教育への価値観に影響する創造的自己信念がどのように形成されるのかについても検討する。2023年度にはこれらの調査研究の積み重ねによって、学校や家庭環境について重要な要因を絞り、子どもの創造性発達にそれらが影響するメカニズムを検討することができる。
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Research Products
(2 results)