2022 Fiscal Year Annual Research Report
知覚情報処理と情報統合における神経同期の役割の検証
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22H01101
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
四本 裕子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80580927)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経同期 / 周波数 / 時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、知覚情報処理に関する大脳皮質の神経同期の機能を明らかにすることを目指している。特に、神経同期の比較的持続的な機能と動的で周期的な変動の機能の2つの側面に着目し、低次から高次の脳領域へと知覚情報処理が進む流れの中で、各脳領域の神経同期の周波数や位相がいかに関わるかを心理物理測定と脳波測定を用いて検証した。実験では、まず、視覚刺激の輝度変調による視覚皮質の神経同期が知覚時間に及ぼす効果を検証した。色の変調が及ぼす知覚変化と輝度の変調が及ぼす知覚変化を比較することにより、輝度に対応する神経同期の効果を明らかにした。
また、神経振動の位相特性が時間拡張に影響を与えるかどうかを評価するため、視覚刺激の明滅を実験的に操作して、脳内に誘発した同期的活動のリズムに対して同相または異相で呈示する刺激の知覚を検証した。実験では脳波を同時に記録し、同相と逆相の刺激ががα周波数の位相に影響することを示した。得られた結果をベイズ統計解析を用いて検証し、視覚的α振動の位相は時間拡張に影響を与えないことを明らかにした。この結果を神経振動と時間知覚モデルの枠組みで議論し、視覚アルファの抑制性サイクルは、規則正しい間隔の過大評価にほとんど関係しない可能性を示唆し、同調モデルで想定される時間振動子は、脳の低次感覚野の興奮性位相とは独立して作用する可能性があることを提案した。
加えて、コロナ禍の外出規制がヒトの心理、知覚、運動、高次認知に及ぼす効果に関する大規模国際共同研究に参加し、得られたデータを発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に3報の国際誌論文を発表した。そのうち1報は大規模国際共同研究である。開始した他の実験も順調に進んでおり、現在、3報が査読中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られたデータを元に、ベイズ統計理論を用いたモデリングを行う。とくに、意識的な知覚と無意識的な知覚の差異に着目し、神経同期や刺激のタイミングと知覚的意識の関係を検証する。
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Research Products
(13 results)