2023 Fiscal Year Annual Research Report
Transformation of perception, decision, and memory by prior information
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22H01104
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
村井 祐基 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 研究員 (60847309)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 視覚 / 知覚心理学 / 心理物理学 / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、現在の知覚が過去に知覚した内容と同じ方向へ偏っていく、知覚の系列依存性に関してその心理学的・神経メカニズムを主に個人差の観点から明らかにすることである。 本年度はまず、系列依存性が報告されて以降10年前後に出版された百本以上の論文をメタ解析し、知覚の系列依存性の特徴として、ある時空間窓内部において、前後の試行で刺激特徴が類似しており、注意が向けられていた刺激間でのみ知覚の同化が生じるという、現象の操作的定義を明らかにした(Manassi, Murai, Whitney 2023)。 さらに、方位知覚や顔認知といった複数の視覚特徴について、オンラインで百名単位の実験を実施し、数ヶ月置いて再度同一実験を実施することで、複数の視覚特徴に対する系列依存性の個人差とその長期的安定性を検討した。結果として、方位知覚のような基礎的な視覚特徴から、顔認知のような比較的高次な視覚特徴に至るまで(Murai & Whitney, VSS 2023)、長期的に安定した個人差が観察されることが明らかになり、現在論文投稿準備中である。さらに、視覚性ワーキングメモリの個人差と安定性についても研究発表を行った(村井、基礎心理学会2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動実験をはじめとして研究計画記載の研究が予定通りに進んだほか、脳波計測システムを用いた研究も実施した。国際誌論文として総説1報を出版した他、国際誌論文が2報投稿中など引き続き着実な成果発表が見込まれ、研究計画全体として概ね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
行動実験、脳波を用いた脳計測研究を引き続き実施し、両研究の論文化をすすめる。また当初研究計画に沿って、ベイズモデル等を用いた行動データのモデル化に取り組むほか、ウェアラブルアイトラッカーを用いた視環境の個人差と系列依存性の個人差を比べる研究をすすめるため、サンプルサイズ設計や解析手法の確立を目指し実験室内での眼球運動計測などの予備実験を行う。
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