2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22H01115
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷口 隆 神戸大学, 理学研究科, 教授 (60422391)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 概均質ベクトル空間 / 余正則空間 / 指数和 / 篩 / 数論統計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2元4次形式の空間において、特異集合上の指数和の明示公式を証明した。公式に有限体上の楕円曲線の有理点の個数が現れたのは新しい現象であると思われる。証明は、古典的な代数幾何学のほか、余正則空間と種数1曲線の関連を用いる。応用として、概素数篩を用いて、2-セルマー群が非自明であるような有理数体上の楕円曲線で、判別式が無平方かつ高々4個しか素因数をもたないものが数多くあることを証明した。素数2において初等的だが技巧を要する命題をいくつか示す必要があり、これを完遂することができた。これは3名の研究者との共同研究である。成果は論文にして公開し、現在学術誌に投稿中である。
余正則空間から密度定理を証明する研究を継続した。特に誤差項の改良について研究した。篩において様々な命題を証明する必要があり、いくつかの基本的な進展を得た。この研究は今後も継続する。また、群が簡約でないときの概均質ベクトル空間の軌道指数和について研究を進めた。ベクトル空間が行列の空間の場合に、データから一定の規則が確認できた。きちんとした公式にできないか研究を継続する。
第30回整数論サマースクール『概均質ベクトル空間論の発展』を、杉山和成氏(千葉工業大)、石塚裕大氏(九州大)と共同で企画し、神戸大学において、9月初旬に5日間で開催した。講演は、入門的な内容から、近年の研究の紹介までをカバーした。75名ほどの参加者を得て、盛会になったと思う。400ページ余りの報告集を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数論的不変式論に関する具体的で新しい成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
軌道指数和の統一的な規則や公式を探す。2元4次形式の空間において得られている成果を、より複雑な余正則空間でも考えることができないか追究する。海外から研究者を招聘して研究打ち合わせを行ったり、研究集会を開催して情報収集を行ったりする。
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