2022 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum Modular Forms and their Applications
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22H01117
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樋上 和弘 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (60262151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤 博之 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (50391719)
村上 斉 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (70192771)
寺嶋 郁二 東北大学, 理学研究科, 教授 (70361764)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | トポロジー / 量子不変量 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 量子モジュラー形式はこれまでに無かった概念であり、結び目や3次元多様体の量子不変量が量子モジュラー性をもつとされる。よく知られている例がトーラス結び目の色つきJones多項式やSeifert多様体のWitten-Reshetikhin-Turaev(WRT)不変量などであるが、実際に量子モジュラー性を示すのは困難が多く、漸近極限を調べることが大変有用となる。当該年度はトーラス結び目のDehn手術から得られる多様体のWRT不変量を漸近極限を詳細に解析し、Chern-Simons不変量やReidemeister捩れとの関係を明らかにした。 (2) 双曲結び目の不変量の量子モジュラー性の解析には状態積分が有用である。これまでに研究されていないものも含めた幾つかの結び目について解析を進めている。特に、位相的漸化式や厳密WKB法などさまざまな手法の有用性を試みている。 (3) トーラス結び目の色つきJones多項式は偽テータ関数と非常に相性が良い。擬テータ関数は頂点作用素代数にも現れるため、量子モジュラー性の解明には頂点作用素代数の手法も有用であるものと期待される。当該年度において、(s,t)対数型頂点作用素代数の指標が(2s,2t)トーラス絡み目の色つきJones多項式とが一致することを、学振特別研究員との共同研究で見いだした。また、色つきJones多項式の「しっぽ」と呼ばれる部分と指標との関連性も指摘した。 (4) 当該年度には二重アフィンヘッケ代数を用いた量子不変量の再構成についての研究をひきつづき行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国際会議を通じて海外共同研究者と議論を持つ予定であったが、新型コロナにより22年度中の国際会議開催を断念した。また、同じく参加であった会議がZoom開催のみとなり共同研究者との十分な議論を持てなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
結び目の量子不変量の漸近形を研究する上で、Khovanovの圏化多項式との関係から多変数化もたいへん重要な課題である。多変数多項式の構成には新しい手法が必要となると思われている。申請者は2重アフィンHecke代数(DAHA)とクラスター代数が有効な手法であるものと考えている。既によく知られているDAHAを用いることによって、トーラス結び目の多変数多項式不変量が構成されることがCherednikによって指摘されている。しかしながら、トーラス結び目ではない双曲結び目に適用するには全く新しいDAHAが必要となる。その手がかりは申請者によって提唱されているが、残念ながら不完全な部分が残っている。この手法のさらなる発展を探り、ツイスト結び目に代表される双曲結び目の不変量の新しい構成方法を確立したい。 クラスター代数については、曲面の三角形分割からスケイン関係式を満たすようなWilson作用素の構成方法が知られているが、具体的に書き下すには非常に複雑となる。新しいDAHAとの関係を明らかにすることにより曲面上のクラスター代数についても新たな知見を提唱したい。
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