| Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である当該年度では2次元領域におけるパルス運動に関して, 研究期間中に得られた結果をまとめると同時に, 1次元領域におけるフロント解やパルス解の運動を詳細に調べ, セパラトリックスの微細な構造や線形化固有値問題への応用を行った. 2次元運動に関しては, 樟脳円盤をはじめとする代表的な局在解に対してこれまでの結果を適用することによる領域境界との相互作用解析, およびその応用として重心運動の離散力学系への帰着などを行い, 新しいタイプのビリヤード問題が生じることを示した.それらの結果は初学者にも配慮して, パルス相互作用に関わる基礎理論の部分から具体的な運動解析までを込めて, モノグラフ Mathematical Understanding of a Billiard Problem in Nonlinear Dissipative Systems (T. Miyaji, S.-I. Ei, M. Mimura 著) にまとめた.スプリンガー社から出版予定である. 一方, 1次元問題への応用としては, 活性化-抑制化因子系に現れるフロント解運動を考察し, 領域内部に置かれた障害物との相互作用を詳細に調べた.特に障害物が階段状のとき, その段差の大きさに依存してフロント解の停止や通過, 振動など様々な挙動が混合して現れることを示した.またその解挙動を制御するセパラトリックスの微細な構造を明らかにするすることにも成功した.関連した多くの結果が計算機援用で考察されているが, 本研究ではすべての結果を数学的に厳密に得たことに意義がある. またフロント解やパルス解の定常的な状態に注目し, その線形化固有値問題への応用も行った.線形化固有値問題に対しては, 3次関数や正弦関数など特殊な非線形項を仮定した場合, 厳密解を求めることができるが, それらと同等の結果をパルス相互作用の方法により, 非線形項によらない普遍的な形で示すことができた.
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