2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of dynamic singularities in parabolic partial differential equations
Project/Area Number |
22H01131
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳田 英二 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特任教授 (80174548)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 いず海 九州大学, 数理学研究院, 助教 (40795605)
高橋 仁 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (40813001)
菅 徹 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60647270)
二宮 広和 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (90251610)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 偏微分方程式 / 放物型 / 特異性 / 反応拡散方程式 / 非線形熱方程式 / ブラウン運動 / 臨界指数 / 可解性 |
Outline of Annual Research Achievements |
一次元非線形熱方程式において,移動する特異点の近傍で拡散効果が退化する場合について研究を進め,初期値問題の解の存在と一意性のための十分条件を明らかにした.また,特異点近傍での解の漸近形状が特異点の移動速度に依存することを示し,さらにはburning coreの形成,特異進行波の存在と漸近安定性,解の長時間挙動,時間大域解の存在についても明らかにした.また,べき乗型の吸収項をもつ熱方程式について考察し,動的特異点のヘルダー連続性に関する指数が1/2よりも大きい場合には,解の特異性の強さは特異点が静的である場合と同等であるが,1/2未満の場合には動く向きに応じて特異性の強さが変化することを突き止めた. 高次元Fast diffusion方程式に対しては,特異点近傍で異方性を持つ解を構成し,幾何学への応用として,非コンパクト山辺流の解の完備性の破れに関する結果を得た.また,Sobolev優臨界な半線形熱方程式に対し,解が爆発するときにその臨界ノルムも同時に爆発することを示した. FitzHugh-Nagumo型の反応拡散系の特異極限として現れる自由境界問題は,一般の初期値に関しては適切な問題となっていない.初期値に条件を付けることで適切な問題となる.弱解を定義することで,時間大域的な解の存在を示し,全域解の特徴付けを行った.また,面積保存流の定常解についても調べた. 多次元整数格子上の単純ランダムウォークあるいはその連続時間対応であるブラウン運動について,到達確率あるいは局所時間の評価や熱方程式との関連について解析を進めた。具体的にはHardy-typeのポテンシャル項にブラウン運動の動きをする動的特異点をつけた熱方程式について,解の存在・非存在に関する評価を確率解析の手法を用いて研究を進めた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に空間一次元の非線形熱方程式について大きな進展があり,初期値問題の解の存在と一意性に関する基本的な問題が解決でき,解の形状,漸近挙動,全域解の存在など定性理論構築のための基礎が完成した.空間高次元の場合には異方性を持つ解の存在や蛇行特異点を持つ解の存在が明らかになり,関連する問題について今後の発展が期待できる.また,より一般の反応拡散方程式に対する自由境界問題に関する重要な性質が示され,特異極限との関係について新たな知見が加わった.その他,確率解析との関連においてもいくつかの進展があり,分数ブラウン運動と偏微分方程式の関係についての手がかりが得られた.
|
Strategy for Future Research Activity |
一次元非線形熱方程式についてはやり残した部分を研究の完成させて,論文を投稿する予定である.また,吸収項を伴う方程式については基本的な性質を解明し,解の挙動についてより詳しく調べる.空間高次元の非線形熱方程式については,非等方的な移動特異点を持つ解の存在とその性質の解明に取り組む予定である.より一般の反応拡散方程式に対しては,その特異極限である自由境界問題と関係をより詳細に明らかにすることを目指す.確率解析との関連においては,特異点が分数ブラウン運動のように振る舞う場合に対し,ハースト指数と特異解の性質との関係を中心に解析を進める.
|