2022 Fiscal Year Annual Research Report
Global analysis for nonlinear dispersive equations
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22H01132
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 賢次 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40322200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 展 京都大学, 数理解析研究所, 講師 (90610072)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 非線形分散型方程式 / 散乱理論 / ソリトン |
Outline of Annual Research Achievements |
消散性非線形 Klein-Gordon 方程式について、複数の基底状態の重ね合わせから出発する解の大域挙動を調べ、ソリトンの動きを制限する有限次元対称性の下で、解挙動の初期値に対する部分的な分類を与えた。更に、解析の要である多重ソリトン周りの線形化方程式に対するソリトン間相互作用の影響について、ソリトンの重ね合わせに修正近似を施すことで、時間の可積分性を改善できることを見出した。一般の多重ソリトン近傍の場合、ソリトンの融合する場合が重大な困難点だが、上記の結果はその解析への手がかりとなることが期待される。さらに、消散性非線形波動方程式でエネルギー臨界指数の場合について、エネルギーノルムが有界な解の時間挙動を調べ、空間次元が高くて解が球対称であれば、消散性が無い場合と同様に漸近的なソリトンへの分解が起こることを示した。 また、フェルミ粒子系に対する平均場近似としての無限次元連立 Hartree 方程式を作用素の形で解析し、Schatten クラスの初期値に対して、スカラー・有限次元系やトレースクラスと類似の手法が使えるように、Duhamel 積分とそのレゾルベントを用いた定式化を行い、更にその時空作用素に対して双対性評価を自動的に移行させる Christ-Kiselev の補題を Schatten クラスへ拡張した。更にこれらを用いて、質量劣臨界 Riesz ポテンシャルの場合について、初期値問題が適切となる Schatten 指数をほぼ完全に決定した。これらは無限次元系に対する大域挙動の解析・分類へ向けた出発点になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析手法の深化と幾つかの継続的な成果は挙げられているが、画期的な進展や発見と言える程のものが無い。既存の枠組みを超える方向性が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
時空上に複数のソリトンが現れる場合の時間大域挙動の解析・分類、複数の不安定ソリトンが共存する過渡的発展の研究および、大域分散性が弱い場合と分散型方程式以外への拡張を課題・目標として研究を進める。特に、大域挙動解析の既存の枠組みを超えるため、海外研究者を含め分散型以外の研究者からも積極的に情報を取り入れる。
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