2022 Fiscal Year Annual Research Report
Seeking universal principle for nonequilibrium thermodynamics based on differential geometry
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22H01141
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 創祐 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00771221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 輝代士 京都大学, 理学研究科, 准教授 (50759256)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 非平衡熱力学 / 情報幾何 / 最適輸送 / 化学熱力学 / 熱力学的不確定性関係 / 速度限界 / 定常状態熱力学 / Fokker-Planck方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
伊藤は今年度、情報幾何学と最適輸送理論の熱力学的な視点での統一を目指す研究を行い、特にFokker-Planck方程式に限定して関係を記述する論文を執筆した。これはInformation geometry誌の情報幾何50周年の特集号の招待論文として出版されるに至った。これは本研究の「幾何学的な熱力学理論の構築」における青地図ともなりうる論文と言える。 また最適輸送理論を用いて、熱力学的な散逸であるエントロピー生成率を、housekeeping項、excess項、coupling項という三つの寄与に分解する定常状態熱力学の研究をFokker -Planck方程式について行い、これらの量が熱力学的なトレードオフ関係である熱力学的不確定性関係や速度限界に関係することを示す研究を行った。これはPhysical Review E誌に出版された。また、Markov系でのグラフ的な熱力学の取り扱いにより、膜輸送現象における情報熱力学的な取り扱いがPhysical Review E誌に出版された。た、化学熱力学系における情報幾何の双対性を取り扱って幾何学的に化学熱力学におけるexcessなエントロピー生成率を位置付ける研究を行い、Physical Review E誌に出版された。 さらに最適輸送理論によるFokker-Planck方程式における熱力学的な定式化を、決定論的なレート方程式やマルコフジャンプシステムに拡張する研究を行い、これはPhysical Review Research誌より出版された。この結果の拡張の方向性は今後の進展に重要だと考えており、この方向性に関する研究を進めていくことを考えている。特に現在投稿中の論文はこれらの方向性を進めるような研究を複数行っている。 また分担の金澤は非マルコフ点過程のマスター方程式について複数の論文を出版している他、この手法の拡張を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度としては、まず本研究の中心課題である、情報幾何学と最適輸送理論という幾何学と非平衡熱力学をつなげる論文を、情報幾何50周年の招待論文としてInformation geometry誌から出版したことが挙げられ、これは本研究の方向性を決定づける重要な位置づけと見做している。よって、この結果が既に出版されたことは、本研究が順調に進んでいると見做せることの証左であると考えている。 またさらに、決定論的な非線形のレート方程式にもこの幾何学と熱力学の手法を拡張することに成功し、その論文も出版されるに至った。このことからも、本研究が当初の想定を超えて様々な応用可能性があることを示唆しているといえ、当初の計画以上に研究が進んでいるとみなすことができると考えている。 さらに初年度にもかかわらず、伊藤だけで5本の関係する論文が出版されたほか、4本の新規投稿を行うことができた。これらのことからも、この研究課題が有望であるとともに、順調に研究が推進されているとみなすことができると考えている。特に現在投稿中の論文としては、緩和現象に関係する固有値に関する熱力学的トレードオフの結果や、情報幾何による熱力学の新たな定式化、ポピュレーションダイナミクスにおける速度限界の結果など、この研究の発展性を広げる研究を複数現在行うことができている。これからも、当初の想像を超えて研究が順調に進んでいると考えることができるだろう。
また分担の金澤は、非線形化学反応系を具体的に計算し,我々の理論である最適輸送理論や情報幾何の言葉で整理する研究を現在行っている.また非マルコフ点過程のマスター方程式についても一般的に導出されつつあり,非マルコフ過程へ拡張も視野に入ってきている.以上の観点から,概ね順調に進んでいると看做せる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進の方策としては、最適輸送理論と情報幾何による非平衡熱力学の適用範囲を広げていく研究を行っていく。例えば、今まではFokker-Planck方程式のような非平衡度が低い系にのみ最適輸送理論が適用可能であったが、もし非平衡度が高い場合は情報幾何学的な拡張が必要になることがわかりつつある。これらの結果は現在投稿中であり、引き続き出版に向けて研究を推進していくことを考えている。またこの情報幾何学的な拡張は、非常に適用範囲が広いと考えているため、この適用範囲の広さを確かめるためにも、様々な系への拡張を進めていくことを現在考えている。 また、今後は最適輸送理論と情報幾何による非平衡熱力学の適用範囲が十分広いことを確かめる上でも、従来扱われていなかった系、たとえば反応拡散系や、流体系、量子系などに理論を拡張していくことを考えている。この理論の拡張によって、適用範囲が増えることのみならず、その分野で従来扱われてきた概念である渦やパターンなどの概念を、この幾何学的な非平衡熱力学の形式に導入することを企図している。 他にも、緩和のスピードを表現する固有値についての熱力学的なトレードオフ関係についての研究も進めていく。特に等周不等式や、もしくは非エルミート性に起因した幾何学的な考え方がこれらのトレードオフ関係に関係することがわかってきており、これらの結果に関係した論文を複数投稿を行ったところである。これらの結果の出版を目指しながらも、現在捉えられている様々な結果に関する理解の深化を目指すことを考えている。 また、分担者の金澤は非線形化学反応系の具体的な計算を行っており,その結果を幾何学的な理論を適用をすることで論文化して出版化することを目指す.また,非マルコフ過程についても複数の論文出版も目指している.
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Research Products
(24 results)
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[Journal Article] Social physics2022
Author(s)
Marko Jusup, Petter Holme, Kiyoshi Kanazawa, Misako Takayasu, Ivan Romic, Zhen Wang, Suncana Gecek, Tomislav Lipic, Boris Podobnik, Lin Wang, Wei Luo, Tin Klanjscek, Jingfang Fan, Stefano Boccaletti, Matjaz Perc
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Journal Title
Physics Reports
Volume: 948
Pages: 1
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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