2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study of spin dynamics in topological materials using ultrafast magneto-optical effects
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22H01151
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長谷 宗明 筑波大学, 数理物質系, 教授 (40354211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 雄太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (50738052)
Fons Paul 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (90357880)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トポロジカル物質 / スピン / 逆ファラデー効果 / フェムト秒 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、トポロジカル絶縁体における光磁気効果の観測技術をさらに高感度化・長波長化するために、光源整備を中心に実験準備を開始した。筑波大では、既存のフェムト秒レーザー再生増幅器+光パラメトリック増幅器(Optical Parametric Amplifier:OPA, 中心波長800 nm, 1100~1600 nm, <60 fs, 繰り返し100 kHz)を活用して、基本波(800 nm; 1.55 eV)とOPA出力光との差周波光である2950 nm(0.42 eV)を非線形光学結晶中で発生させることを試みた。その結果、2190 nm(0.57 eV)の差周波光発生には成功したが、目標の2950 nm(0.42 eV)までには至っていない。一方、典型的なトポロジカル絶縁体であるBi2Se3単結晶を購入し、バルク試料の光磁気効果の観測をOPA出力光を用いて波長1200~1600 nmで行ったところ、逆ファラデー効果と光カー効果による信号を得ることができた。また、高圧下ではトポロジカル超伝導を示すことが知られる1T-TiSe2単結晶における基本波でのフェムト秒分光測定を行い、室温において電荷密度波に起因するフォノンモードの観測に成功している。さらに、第一原理計算により試料の電子構造や非線形感受率・誘電率テンソルに関する知見を得るため、高性能サーバーを慶應大学に導入し、試験的に遷移金属ダイカルコゲナイドであるMoTe2の誘電率の計算を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
差周波光である2950 nm(=0.42 eV)を非線形光学結晶中で発生させることは未だ達成できていないが、既存の光パラメトリック増幅器の出力光(波長1200~1600 nm)を用いて実験を開始し、典型的なトポロジカル絶縁体における光磁気効果の観測には成功している。また、測定試料としての候補である遷移金属ダイカルコゲナイドなどの単結晶試料において、電子やフォノンの実時間観測の実験を進め、多角的にスピンダイナミクスに迫ろうとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
差周波光である2950 nm(=0.42 eV)の発生も継続しながら、既存の光源(波長800 nm、1200~1600 nm)を活用して光磁気効果の実験を進める。また、スピン電流測定が可能な、電極付のSb2Te3およびBi2Te3薄膜試料作製について、デザインの検討を完了し、マグネトロン・スパッタリングによりシリコン基板上に作製する。さらに第一原理計算により試料の電子構造や非線形感受率・誘電率テンソルに関する知見を得るため、導入した高性能サーバーを用いて、計算モデルの構築を行い、Bi2Se3単結晶など実験に使用した物質へと展開していく。
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