2022 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子結合ナノ光ファイバブラッグ共振器を用いた量子情報デバイスの開発
Project/Area Number |
22H01155
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高島 秀聡 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 准教授 (00432162)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ナノ光ファイバ / 単一光子源 / 時間領域差分法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、光量子コンピューターや長距離量子暗号通信など、光子を用いた量子技術の実現に向け、単一の光子を発生する単一光子源や、スイッチング素子である量子位相ゲートなどの量子情報デバイスの開発が注目されている。これらの量子技術では、光子ひとつひとつを情報の担体とすることから、量子情報デバイスは、光子を伝送する単一モード光ファイバと100%の効率で結合していることが重要となる。このようなデバイスの実現に向け、本研究では、単一モード光ファイバを局所的に細くしたナノ光ファイバに、光共振器を組み込んだナノ光ファイバブラッグ共振器に、単一の光子を発生させる単一発光体を結合させたデバイスの開発に取り組むことを研究の目的とする。 この目的の達成に向け、2022年度は、時間領域差分法を用いた共振器内蔵ナノ光ファイバの構造設計に取り組んだ。その結果、共振器構造を非対称な構造とすることで、単一発光体から発生した光子が、80%以上の効率で光ファイバの一方向から発生できることがわかった。また、時間領域差分法と有限要素法を用い、共振器内蔵ナノ光ファイバに応力を加えた際に、構造変化と共振波長変化を解析し、グレーティングの周期および直径の変化により、共鳴波長が変化することを明らかにした。さらに、実際の共振器内蔵ナノ光ファイバの開発に向け、発光体の発光波長(740~780nm付近)で単一モード伝搬が可能なナノ光ファイバの開発に取り組んだ。これらのデバイス開発に加え、不純物欠陥を含むダイヤモンド微粒子や、六方晶窒化ホウ素など、単一発光体の開発や室温での光学特性の評価などにも取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的納期遅れにより購入予定のレーザーの納品が大幅に遅れ、進捗が予定より遅れた。また、大阪大学産業科学研究所の微細加工装置が故障しており、予定通り共振器内蔵ナノ光ファイバの開発を行えなかった点も研究がやや遅れている理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究でターゲットとする有機分子の開発に取り組むと共に、より高温での動作が期待できる単一発光体の開発にも取り組む。また、ターゲットとする発光体の波長で動作する共振器内蔵ナノ光ファイバの開発にも取り組む。
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