2022 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導体の内在的スピン担体によるスピン流伝搬・変換現象
Project/Area Number |
22H01163
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
LUSTIKOVA JANA 東北大学, 先端スピントロニクス研究開発センター, 助教 (90847964)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 超伝導 / スピントロニクス / 高温超伝導 / トポロジカル物性 / 磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Bi系高温超伝導体及び2次元層状物質を対象に、スピンポンピング実験を通じてスピン吸収効率を評価するための測定プローブの設計と立ち上げを行った。超伝導転移温度におけるスピン吸収効率の変化を精密に評価するための実験的基盤を構築し、超伝導状態でのスピンの動態を詳細に調査し、スピン・電荷変換現象を評価する計画である。さらに、二次元材料を用いたマイクロサイズのスピン注入デバイスの作製に向けて、リソグラフィと微細加工の環境を整えた。トポロジカル超伝導材料の選定及びテストデバイスの作製を行い、これらの材料を基にした超伝導スピントロニクスデバイスの開発を進めた。
本研究の一環として、既存のクライオスタットに統合可能なマイクロ波測定プローブを新たに設計・構築した。これまで8 GHzまでのスピンポンピングの測定が可能であったが、このプローブにより、18 GHzまで拡張された。この拡張により、スピン吸収効率のエラーバーが改善され、超伝導状態でのスピン注入現象の更なる議論が可能になる。また、低温10 Kまで、それ以下の温度でも実験が可能となり、対象とする超伝導体の範囲が広がった。
さらに、2次元トポロジカル材料に関しては、露光装置と微細加工の環境を構築し、ヘテロ構造の作製やマイクロサイズの電極の作製の一連のプロセスが可能になった。STMやARPESなどの研究報告に基づいてトポロジカル超伝導材料の選定を行い、スコッチテープ剥離法によりマイクロスケールで平坦な薄膜単結晶を得ることができ、これを利用してテストデバイスの作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の進捗はおおむね順調である。特に高温超伝導体と2次元層状物質に焦点を当てたスピンポンピング実験は、計画通りに進んでいる。特にBiSrCaCuOを使用したスピン注入の基礎技術とデバイスの構築に成功しており、実験的な進展が見込まれる。さらに、2次元層状物質の実験に必要なフォトリソグラフィと微細加工技術の環境を整備し、これらがスムーズに機能している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、Bi系高温超伝導体を使用したスピンポンピング測定を18 GHzまでの高周波数で実施する計画である。これまでの8 GHzの設定から拡張し、超伝導転移温度前後の変化および超伝導状態における現象をより詳細に考察する。
また、二次元トポロジカル超伝導材料におけるスピン伝搬メカニズムを検証・解明するために、電気的スピン注入・測定デバイスを構築し、常伝導・超伝導状態におけるスピン注入・スピン伝搬の評価実験を進める。
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