2022 Fiscal Year Annual Research Report
Search for materials with novel magnetotransport properties arising from multi degrees of freedom
Project/Area Number |
22H01172
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
勝藤 拓郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00272386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 健士 東邦大学, 理学部, 講師 (80564947)
溝川 貴司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90251397)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 磁気伝導 / 金属絶縁体転移 / d軌道 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) Ba3-xEuxNb5O15において,Nbの4d電子とEuの4f電子の結合に伴う巨大な負の磁気抵抗を見出し,2022年に報告した。この物質はBaをEuで置換すると金属から絶縁体へ転移するが,転移する近傍のxにおいて磁気抵抗の絶対値が最も大きくなる。このメカニズムを明らかにするために,ホール係数を測定した結果,転移点近傍でNb1個あたり0.001個の電子に相当する値となることを見出した。このことは,この金属-絶縁体転移が電子数の減少に由来することを意味している。 (2) Ba3Ta5O15はBa3Nb5O15と同じ結晶構造をとり、Taの5d電子が伝導電子となる。この物質のBaをEuで置換した物質の単結晶を作製し,物性を測定した結果,Nbの場合と同様に,金属から絶縁体へ転移する近傍で比較的大きな負の磁気抵抗を示すことを見出した。一方,BaをEu以外の希土類Rで置換した場合は,小さな正の磁気抵抗を示すことを見出した。これらの結果は,Eu2+における4f軌道のエネルギー位置が他の希土類の4f軌道のそれとは異なり,結果としてNb4dやTa5d電子との結合が強くなっていることを示唆している。 (3) 2次元磁性体であるLa5Mo4O16は200Kに面内でフェリ磁性,面間で反強磁性であるが,1T以下の弱磁場で面間方向が強磁性にメタ磁性転移し,その際に数%の負の磁気抵抗を示すことを2011年に見出している。この物質のMoサイトをMn, Fe, Coで置換した単結晶を作製し,磁気抵抗を含めた物性を調べた。転移温度は置換によって減少すること,負の磁気抵抗の大きさも置換によって減少することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ba3-xEuxTa5O15において新たに大きな負の磁気抵抗を見出すなど,当初の予定通りに物質開発が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 新たに見出したBa3-xEuxTa5O15に関して,金属絶縁体転移と負の磁気抵抗のメカニズムについて,Nb系との比較も含めて研究を進める。 (2) La5Mo4O16系へのドーピング効果について,より系統的に研究を進めて,新奇な磁気抵抗効果の探索と物性の解明を目指す。 (3) MnTi2O4系を中心に,スピンシングレット絶縁体が基底状態の物質にドーピングを施すことにより,巨大な正の磁気抵抗の探索を行う。
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Research Products
(5 results)