2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the index theorems with domain-wall fermions
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22H01219
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
深谷 英則 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (70435676)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 格子ゲージ理論 / ドメインウォールフェルミオン / 指数定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、時空を離散化した格子上に定義されるドメインウォールフェルミオンを用いて、ゲージ理論の幾何学的性質を、理論的、数値的に探ることである。具体的には(1)格子ゲージ理論における指数定理の数学的定式化、(2)臨界温度付近のQCD におけるトポロジー励起の相転移への寄与の検証を目指す。2022年度の実績は、一つ目の課題について連続理論の無限次元ヒルベルト空間と格子理論の有限次元ヒルベルト空間における指数の比較のために必要なK群の定式化に成功した。この定式化には対称性を付加することが用意なため、mod-two 指数への拡張も可能であると考えている。また、関連した研究として正方格子に曲がったドメインウォールをうめこんだフェルミオン系で重力場が生じ、その系がアノマリー流入を正しく再現していることを確認した。論文1報を発表。二つ目の課題に関しては、相転移温度付近165MeV, 147MeV での格子QCDシミュレーションを実行、カイラル感受率における軸性U(1)の破れ、特にトポロジカルに非自明なゲージ場の効果を抽出した。その結果、軸性U(1)の破れの割合はどちらも大きいものの、低温側ではその比率が下がる傾向がみられた。中間結果について国際会議報告を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二つの課題(1)格子ゲージ理論における指数定理の数学的定式化、(2)臨界温度付近のQCD におけるトポロジー励起の相転移への寄与の検証のうち、(1)については順調に進んでいる。連続理論の無限次元ヒルベルト空間と格子理論の有限次元ヒルベルト空間における指数の比較のために必要なK^0群およびK^1群を定式化した。これはそれぞれのヒルベルト空間、それに作用するDirac演算子の同値類をとることで群の要素を定義した。この方法は対称性を付加することが可能な強力な手法で、本課題のAtiyah-Singerの標準的な指数だけでなく、mod-two指数への応用も可能であると考えている。また、関連した研究として正方格子に曲がったドメインウォールをうめこんだフェルミオン系で重力場が生じ、その系がアノマリー流入を正しく再現していることを確認した。論文1報を発表。(2)の課題については、当初の想定に反し、温度136MeV、 格子サイズ48のQCD数値計算による軸性アノマリーに関する物理量の有効統計量が4点の質量パラメータ毎に20ほど不足、物理量の解析ができないことが判明し、格子サイズ48のQCD数値計算を延長して実施する必要が生じた。2023年まで延長した結果、十分な統計量が得られ、現在データの解析を行っている。現在のカイラル感受率における軸性U(1)の破れ、特にトポロジカルに非自明なゲージ場の効果の結果として、軸性U(1)の破れの割合はどちらも大きいものの、低温側ではその比率が下がる傾向がみられた。
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Strategy for Future Research Activity |
二つの課題(1)格子ゲージ理論における指数定理の数学的定式化、(2)臨界温度付近のQCD におけるトポロジー励起の相転移への寄与の検証のうち、(1)については、格子と連続理論のそれぞれのDirac演算子の指数が等しいことを示すため、お互いのヒルベルト空間同士を結ぶ写像$f_a$を構築する。二つのDirac演算子の直和をとって合成したものと、$f_a$とその共役を非対角に並べた演算子の和をとり、それが可逆であることを示す。この可逆性が示せれば、指数が等しいことの十分条件となり、定理の証明が完成する。同時に曲がったドメインウォールフェルミオンの研究を進め、重力場を与えたフェルミオン系の格子理論の定式化を目指す。(2)の課題については、カイラル感受率の温度依存性および質量依存性を解析しaxial U(1)の破れの寄与を定量評価する。同時に相転移温度を決定する。これはカイラル対称性を保つDirac演算子を用いた世界初の結果となるはずである。特に異なる体積の結果の無矛盾性を調べ、有限体積効果による系統誤差を見積もる。また、空間方向への中間子2点相関関数も計算し、そこからスクリーニング質量を抽出する。対称性で関係する異なる量子数の中間子の結果を比較し、高温における対称性の回復パターンを明らかにする。
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