2022 Fiscal Year Annual Research Report
Observation of two-neutrino double beta decay events using zirconium 96 and measurement of the half-life
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22H01243
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
福田 善之 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (40272520)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 二重ベータ崩壊 / 液体シンチレーター / 極低放射能環境 / ジルコニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度では、まずICP質量分析により2nu-ZICOS検出器に使用する高純度石英ガラスGE214中のTh量が15ng/g、U量が29ng/gという結果を得た。これにより、半径8cmの高純度石英製フラスコからの1年間当たりに発生するTl-208崩壊数は1,000,000事象、Bi-214の崩壊数は6,000,000事象が予想された。それらの背景事象の観測を避けるために、各ベータ崩壊の電子を観測しないようにフラスコ内にアニソールに耐性を有するバックを設置することを考案した。シミュレーションによると、検出器の中心から5cmの内側では1/100以上に背景事象を除去できることがわかった。このバック内に1LのZICOS用液体シンチレーターを格納すると、その中には100gのZr(iPrac)4が溶解するため、約0.4gのZr-96原子核が存在することから、年間約100事象の信号が期待される。しかし、2.6MeV以下では信号に対して2桁以上の背景事象が依然として存在するため、2.6MeV以上のエネルギー領域に限定した観測にするとS/N比が1程度となり、年間数10事象の二重ベータ崩壊事象の観測が期待されることがわかった。同様に、Bi-214事象も2MeV以上であれば容易に除去可能であり、更に高純度石英ガラス中のK含有量が180ng/gであるもののK-40の自然存在比から年間約100,000事象が発生するが、エネルギーが1MeV以上の事象は存在しないこともわかった。一方、液体シンチレーターを調製するために必要な200gのZr(iPrac)4を合成するため、共同研究者が業者に合成手法を指南したが、原料の調達に時間が掛かったため年度内に合成は完了しなかった。また、観測に使用する光電子増倍管H3378-50を8本購入してゲインを調整し、次年度に組み立てる2nu-ZICOS検出器の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、2022年度内に200gのZr(iPrac)4の合成を完了させる予定であったが、業者が原料である99.99%の四塩化ジルコニウムの調達に想定以上の時間が掛かり、それにより合成作業の開始も遅れが生じたため、最終的に合成が完了した時期が次年度の5月となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
クラス1000のクリーンブース内で、合成した200gのZr(iPrac)4を用いて2LのZICOS用液体シンチレーターを調製する。また、光電子増倍管を設置するための治具の製作と環境ガンマ線を遮蔽するための鉛ブロック・無酸素銅からなる遮蔽構造体の設計と製作、ならびに液体シンチレーターを格納するETFE製バックを製作し、試験的に2nu-ZICOS検出器の組立てを行う計画である。一方、光電子増倍管H3378-50のパルス波形をCAEN製デジタイザV1742(5GHz)を用いてチェレンコフ光の有無を判断するための波形テンプレートの作成や追加購入するH3378-50のゲイン調整、更にエネルギーおよび事象の発生点を再構成するためのキャリブレーション手法を開発する計画である。
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