2023 Fiscal Year Annual Research Report
Reduction of Gravity-Gradient Noise for Gravitational-Wave Observation
Project/Area Number |
22H01246
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安東 正樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90313197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横澤 孝章 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (00755928)
宗宮 健太郎 東京工業大学, 理学院, 准教授 (10582603)
三代木 伸二 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (20302680)
鷲見 貴生 国立天文台, 重力波プロジェクト, 特任助教 (30822283)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 重力勾配雑音 / 重力波望遠鏡 / 低温モノリシック干渉計 / 防振 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, (1) 現在稼働している重力波望遠鏡KAGRAにおける非定常な重力勾配雑音の除去をおこなうこと, (2) 将来の重力波望遠鏡のための重力勾配雑音の低減手法の研究を推進すること,を目的とする.そのために, 0.1Hz付近という低いの周波数帯で,地面振動や大気揺らぎに起因する重力勾配変動を観測する,重力勾配計の開発を進めた.本年度は,シリコンモノリシック干渉計の開発と,新たな懸架装置の設計・製作を行った. シリコンモノリシック干渉計は,熱雑音を避けるために低温下で動作し,かつ,外乱振動に対して強固であるという要求から本研究で必須の技術になっている.本年度は,その低温下での動作の実現と,光学特性と雑音源の評価を行った.その結果,0.1 Hzの周波数帯において 3.6x10^(-14) [m/sqrt(Hz)]という感度を達成した.これまでに全ての光学系を接着したモノリシック光学系を低温下で動作させた例はなく,本成果は世界初のものである.また感度を制限している雑音についても調査を行い,広い周波数帯に渡り地面振動が制限しており,レーザーの強度揺らぎが将来問題となることがわかった.今後は防振系の改良やレーザーの強度安定化を行い,感度を向上する予定である. それと並行して,低温ねじれ振り子の開発に向けて,まずは常温下でねじれ振り子を開発し,設計の問題点の洗い出しと共振器制御の実証の研究を進めた.ねじれ振り子の両端に取り付けた2本の光共振器の長さ変動の差からねじれ振り子の回転を測定する光共振器の構成方法,中段マスと試験マスの形状,懸架ワイヤの本数など,様々な設計を検討し,並進地面振動からのカップリング雑音が小さくなるように設計を行った.縦防振を取り入れた懸架台,中段マス,試験マス,光学ベンチの部品の設計を行い,製作を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
世界で初めてシリコン製の低温モノリシック干渉計の動作を実現するとともに,低周波数帯での高感度の実現,雑音源の評価といった,一連の研究を達成した.また,低温懸架系の開発では,これまでの知見を集約する設計と,組み上げを実現した.
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Strategy for Future Research Activity |
低温下でねじれ振り子装置を動作させ,雑音源の特定を低減を進めるとともに,重力勾配計雑音の観測と評価を行う.
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