2022 Fiscal Year Annual Research Report
Beating the standard quantum limit using optical-spring quantum locking for space gravitational-wave antenna DECIGO
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22H01247
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川村 静児 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40301725)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 原始重力波 / DECIGO / 量子ロッキング / 標準量子限界 / 光バネ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、光バネ量子ロッキングをDECIGOに組み込む際の理論的な解析を行い、どのような手法で量子雑音が最適化できるかを検討し、そして、本手法の原理実証実験を行い、その有効性を確認し、問題点を洗い出し、輻射圧雑音除去の現実的な限界を見極めることである。 本年度は、まず理論面においては、輻射圧雑音をより広帯域に除去する手法を検討した。特に、あらかじめ逆位相の輻射圧雑音を印加した入射光を用いることで、全ての帯域において輻射圧雑音を完全に除去することが可能であることに気づき、その手法の実現可能性を検討した。残念ながら、あるスコープの下ではそれは実現不可能であることが証明できたが、将来につながる有用な成果が得られたため、この結果を論文として発表した。 実験面においては、原理検証実験の3段階の最初のステップである、『古典雑音による模擬量子雑音を用いて平方完成の有用性を確認する実験』を行った。模擬量子雑音としては、ショットノイズとしては古典雑音を光検出器に印加し、また、輻射圧雑音に関しては、固定鏡をピエゾ素子により古典的に振動させることによりこれを行った。実験装置としては、連結された主共振器とサブ共振器にそれぞれ別の周波数を持つレーザー光を入射して動作させた。その際、主共振器はハイパワーレーザーで、サブ共振器はローパワーレーザーで動作させるという想定のもと、それに対応する模擬量子雑音を印加した。そして、それぞれの共振器の信号を平方完成を用いて最適化することにより、周波数に応じて模擬量子雑音のいいとこどりができていることを確認することができ、平方完成の有用性を示すことができた。この成果は論文として発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論面においては、全ての帯域において輻射圧雑音を完全に除去する手法を開発することはできなかったが、それに関する論文を発表することができた。 実験面においては、原理検証実験の3段階の最初のステップである、『古典雑音による模擬量子雑音を用いて平方完成の有用性を確認する実験』を行い、平方完成の有用性を示すことができた。そして、その成果を論文として発表することができた。 したがって、全体としておおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、実験面においては、原理検証実験のステップ1である、『古典雑音による模擬量子雑音を用いて平方完成の有用性を確認する実験』を行い、平方完成の有用性を示すことができた。 そこで次年度は、原理実証実験のステップ2へと進む。ステップ2は、懸架鏡を用いたホモダイン検波の実験である。具体的には、電気光学素子により古典的に振幅の模擬量子雑音を光に加え、それによって揺さぶられる懸架鏡の反射光に生じる模擬輻射圧雑音を、ホモダイン検波により振幅の模擬量子雑音とある周波数でキャンセルさせ、ホモダイン検波の有用性を確認する実験である。これの準備として、各種雑音を評価し、鏡懸架システムや制御システムを設計・製作する。また真空槽の準備も行う。 これと並行して、ステップ1で用いたセットアップを利用して、ステップ2からホモダイン検波の部分だけを取り出した原理実証実験(ステップ1b)を行う。具体的には、光の振幅の量子雑音は古典雑音を電気光学素子を用いてレーザー光に印加し、また、輻射圧雑音は固定鏡を古典的に振動させることにより模擬する。そしてホモダイン検波によりある特定の周波数で、光の振幅の模擬量子雑音と模擬輻射圧雑音がキャンセルし、雑音低減が実現できることを確認する。
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[Journal Article] First-step experiment for sensitivity improvement of DECIGO: Sensitivity optimization for simulated quantum noise by completing the square2023
Author(s)
Tomohiro Ishikawa, Yuki Kawasaki, Kenji Tsuji, Rika Yamada, Izumi Watanabe, Bin Wu, Shoki Iwaguchi, Ryuma Shimizu, Kurumi Umemura, Koji Nagano, Yutaro Enomoto, Kentaro Komori, Yuta Michimura, Akira Furusawa, and Seiji Kawamura
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Journal Title
Phys. Rev. D
Volume: 107
Pages: 022007
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] スペース重力波アンテナDECIGO計画 (164):感度向上のための量子ロッキングの検討 92023
Author(s)
石川智浩, 川﨑祐輝, 辻健志, 清水龍真, 梅村来未, Wu Bin, 岩口翔輝, 長野晃士, 榎本雄太郎, 小森健太郎, 道村唯太, 古澤明, 川村静児
Organizer
日本物理学会
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[Presentation] スペース重力波アンテナDECIGO計画(165):感度向上のための量子ロッキングの検討 102023
Author(s)
梅村来未, 辻健志, 石川智浩, 清水龍真, Wu Bin, 岩口翔輝, 川﨑祐輝, 長野晃士, 榎本雄太郎, 小森健太郎, 道村唯太, 古澤明, 川村静児
Organizer
日本物理学会
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[Presentation] スペース重力波アンテナDECIGO計画(166):感度向上のための量子ロッキングの検討 112023
Author(s)
辻健志, 梅村来未, 石川智浩, 清水龍真, Wu Bin, 岩口翔輝, 川﨑祐輝, 長野晃士, 榎本雄太郎, 小森健太郎, 道村唯太, 古澤明, 川村静児
Organizer
日本物理学会
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[Presentation] Current Status of Quantum Locking Experiment for Space Gravitational Wave Antenna DECIGO2022
Author(s)
Tomohiro Ishikawa, I. Watanabe, S. Iwaguchi, B. Wu, Y. Kawasaki, R. Shimizu, K. Nagano, Y. Enomoto, K. Komori, Y. Michimura, A. Furusawa, S. Kawamura
Organizer
Gravitational Wave Advanced Detector Workshop
Int'l Joint Research
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[Presentation] スペース重力波アンテナDECIGO計画 (153):感度向上のための量子ロッキングの検討 72022
Author(s)
辻健志, 石川智浩, 川﨑祐輝, Wu Bin, 岩口翔輝, 清水龍真, 梅村来未, 長野晃士, 榎本雄太郎, 小森健太郎, 道村唯太, 古澤明, 川村静児
Organizer
日本物理学会
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[Presentation] スペース重力波アンテナDECIGO計画 (154):感度向上のための量子ロッキングの検討 82022
Author(s)
石川智浩, 川﨑祐輝, 辻健志, Wu Bin, 岩口翔輝, 清水龍真, 梅村来未, 長野晃士, 榎本雄太郎, 小森健太郎, 道村唯太, 古澤明, 川村静児
Organizer
日本物理学会