2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research and development of an electromagnetic calorimeter to search for long-lived particle having GeV mass
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22H01248
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
宮林 謙吉 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (40273833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 明正 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (40452833)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 長寿命粒子の探索 / 電磁カロリメーター / 半導体ピクセルセンサー / 無機結晶シンチレーター |
Outline of Annual Research Achievements |
アクティブ吸収層としてBGOまたはFast-LGSO結晶シンチレーターを使用し、そこで生成した電磁シャワーの中に含まれる電子および陽電子の通過を半導体ピクセルセンサーで検出する構成のカウンターを複数層積み重ねることにより、到来したガンマ線の到来方向を再構成する機能を持つプリシャワー検出器の開発を目指して、以下の項目を実施した。 ・BGOおよびFast-LGSOシンチレーターの発光をガイガーモード半導体光電増倍素子(浜松ホトニクス社製MPPC)を用いて読み出し、セシウム137線原が発する662keVガンマ線の光電吸収ピークの波高を調べることにより、これらのシンチレーターの読み出し光量を測定した。受光部の面積を5mm角から6mm角とした場合、BGOシンチレーターでは約700photons/MeV、Fast-LGSOシンチレーターでは約1600photons/MeVであることがわかった。MPPCはシンチレーターを貫通する荷電粒子の信号に対してダイナミックレンジが不足する懸念があるが、測定した読み出し光量はダイナミックレンジの広さと50倍から100倍の増幅率により低雑音化を図ることができる5mm角のリバース型アバランシュフォトダイオードが適していることを示唆するものである。 ・GEANT4プログラムを用いたモンテカルロシミュレーションで期待される性能を調べ、1GeVガンマ線の入射に対して約80mradの角度分解能が期待できることがわかった。 ・半導体ピクセルセンサーの候補として、SOI技術を用いたDuTIPセンサーが目的に合致するか検討を開始し、ピクセルセンサーのデータをフォーマットするファームウエアと、データ収集するソフトウエアを動作させるPCサーバーを調達し、テスト環境の構築に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1層あたり1放射長の厚みを持つ結晶シンチレーターと0.3mm厚のシリコン半導体検出器をあわせたものを3層積み上げた構成のプリシャワー検出器についてのモンテカルロシミュレーションによる検討では、エネルギーが50MeVから100MeV程度のガンマ線では、プリシャワー検出器内で全エネルギーを損失する事象もあることがわかり、シャワー発達を促す吸収層をエネルギー損失の測定が可能なアクティブなものにするために密度の高い結晶シンチレーターで作ることの有効性が確かめられた。 フォトンカウンティング能力を持つ、大面積(6mm角)のガイガーモード半導体光電子増倍素子(MPPC)により、読み出し光量は、BGOシンチレーターでは約700photons/MeV、Fast-LGSOシンチレーターでは約1600photons/MeVであることがわかった。電子・陽電子の通過を検出するトラッキング層をなす半導体ピクセル検出器については、SOIなるモノリシック半導体ピクセル検出器の技術を応用したDuTIPセンサーを検討対象とすることを決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、これまで結晶シンチレーター、半導体光検出器、電荷積分型増幅器など電磁カロリメーターに入射したガンマ線が生じるシャワーのエネルギー損失を測定するために必要なデバイスや技術には熟練している一方で、シャワー中の電子・陽電子の通過を検出するトラッキング層をなす半導体ピクセル検出器の取り扱いについては経験が乏しい。 そこで、SOIなるモノリシック半導体ピクセル検出器の開発を行ってきたグループと連携し、そのグループの一員を研究分担者として研究に参画してもらうこととした。Belle II実験の崩壊点検出器アップグレードのオプションの一つとして、SOIセンサー開発グループでは、DuTIPなるモノリシックセンサーの開発を進めており、これをプリシャワー検出器のトラッキング層とすることを検討し、各種の評価試験を実行することにより、半導体ピクセル検出器の取り扱いについて知見を得ることにより、具体的な研究推進の方策を先鋭化する。
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