2022 Fiscal Year Annual Research Report
暗黒物質探査に特化した半導体を用いた電子飛跡検出型コンプトンカメラの開発
Project/Area Number |
22H01254
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
加賀谷 美佳 仙台高等専門学校, 総合工学科, 助教 (10783467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 彩希 宮崎大学, 工学部, 准教授 (40736667)
片桐 秀明 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (50402764)
島添 健次 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70589340)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | MeVガンマ線 / SOIピクセル半導体検出器 / コンプトンカメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、sub-MeVからMeVガンマ線観測に特化した電子飛跡検出型コンプトンカメラの開発をし、暗黒物質探査や超新星爆発による元素合成メカニズムの解明を達成するために、sub-MeV・MeVガンマ線領域での高感度観測を目指す。このエネルギー領域での高感度観測を達成するためには、高い精度でのラインガンマ線の検出とバックグラウンドの低減が必要である。そのため、本研究ではSOIピクセル半導体検出器に着目し、これをコンプトンカメラの散乱部に搭載して反跳電子の飛跡を検出する電子飛跡検出型コンプトンカメラを開発する。 本研究では、ガンマ線が半導体検出器に入射した際にコンプトン散乱によってはじき飛ばされた反跳電子の方向を3次元的にとらえる必要があり、特に素子の深さ方向を測定するための手法を確立したい。反跳電子の方向を3次元的に特定するために必要な数μm程度の位置分解能を達成するために必要な数百ps以下の高時間分解能を持つ素子を開発を目指す。当初の計画ではR4年度に素子の製作を行う予定であったが、合同で製作する機会がR4年度は開催されずR5年度に延期になったため、R4年度では製作する素子の回路設計、レイアウト作成のみを行った。その間に、Geant4シミュレーションを用いて、素子のサイズを10μm、20μmと小さくした場合の電子飛跡の検出能力について評価を行い、最初に開発したプロトタイプの30μmサイズのピクセルの結果と比較を行った。 また、これまでのプロトタイプ検出器では、同時計数イベントを増やすために3.5cm角の結晶シンチレータを利用していたが、将来的に吸収体も半導体検出器に置き換える予定のため、吸収体に用いるCdZnTe半導体検出器を購入した。今後これらの基礎性能の評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
R4年度で実施予定だった素子の製作の機会がR5年度に延期になったため、当初の計画よりも半年程度、素子の製作、評価のスケジュールが遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
他機関と合同での素子製作の機会がR5年度に延期になったが、素子の製作はR5年度ですぐ実施できるように、素子の設計を進めていく。素子が納品されるまでの時間で、素子の性能評価のための準備を進め、素子が納品されたらできるだけ早く素子の評価に入れるように、測定用のファームウェアやソフトウェアの準備を進める。R6年度もしくはR7年度で素子の評価を実施し、R7年度もしくはR8年度で2回目の素子の製作ができれば、評価については1回目の素子製作で評価に必要な環境がある程度そろっていることから、研究期間が終了しても本研究で製作した素子の評価や次の素子設計においては研究を継続することが可能であると考えている。
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