2022 Fiscal Year Annual Research Report
次世代の衛星科学観測を実現するオンボード機械学習システムの開発と科学解析への応用
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22H01282
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松田 昇也 金沢大学, 電子情報通信学系, 准教授 (20772213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 達人 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (10736862)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 機械学習 / オンボードシステム / 科学衛星 / プラズマ波動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,来る10-20年の惑星探査計画のキー技術となり得る「人工知能技術搭載オンボードデータ処理装置」の開発に着手し,世界の先陣を切って衛星搭載に向けた技術獲得を目指している.衛星搭載観測器が自律的にサイエンスアウトプットを向上させ,限られた通信容量を最大限有効に活用する工夫として,最先端デバイスの一つである動的再構成プロセッサ(DRP)を,世界で初めて衛星搭載プロセッサとして活用し,機械学習・推論の衛星機上実装による自動現象分類・抽出を実現する.今年度は,DRPで動作可能な機械学習モデルの初期検討を行い,衛星搭載可能なDRP搭載LSIおよび周辺デバイスを選定した.検討結果を踏まえて,衛星搭載機器開発メーカと連携してRenesas Electronics社製RZ/V2Lマイコンを搭載したDRP搭載評価基板を設計・開発し,その動作試験を行った.また,製作した評価ボードを用いて,畳み込みニューラルネットワークに代表される基本的な機械学習モデルが動作可能であることを確認し,CPUやSoC (System on Chip)を用いた地上用機械学習システムと同様の結果を得られることを確認した.加えて,具体的な科学課題として地球磁気圏におけるプラズマ波動計測データを例に挙げ,現象の周波数-時間ダイアグラムを画像形式として表現し,シンプルな畳み込みニューラルネットワークモデルであっても高い精度で現象識別が実施可能であることを確認した.宇宙天気計測の一環として注目されている,放射線帯形成に寄与するコーラス波動やヒス波動の分類を衛星機上で実現することに貢献できる成果であり,衛星-地上間の限られた通信容量を有効活用することに向けた技術実証を進めることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初に予定していた「DRP搭載ロジック評価ボード」の設計・開発を完了し,動作試験によって期待通りに動作できることを確かめることができた.基本的な機械学習モデルを用いた動作検証では,従来のCPUやSoC (System on Chip)を用いた地上用機械学習システムと同様の結果を得られることを確認しており,本研究で目指す高速機械学習推論にDRPを用いることの有用性を検証する土台を構築できた.
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Strategy for Future Research Activity |
開発したDRP搭載ロジック評価ボード上で動作させる制御ソフトウェアの開発を行い,任意のアナログ信号を入力データとする機械学習(推論)機構の評価を行う.また,DRP搭載ロジック評価ボード上で動作させる小型・軽量な機械学習モデルの提案・評価を進め,実際にDRPロジック評価ボードに実装し,高精度な現象分類に向けた基礎検討を進める.
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