2022 Fiscal Year Annual Research Report
極冠域境界に見られる熱的現象の解明:アルベーン波の観測を通したアプローチ
Project/Area Number |
22H01285
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田口 聡 京都大学, 理学研究科, 教授 (80251718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今城 峻 京都大学, 理学研究科, 助教 (70795848)
松岡 彩子 京都大学, 理学研究科, 教授 (80270437)
細川 敬祐 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80361830)
原田 裕己 京都大学, 理学研究科, 助教 (90823386)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 極冠域境界 / カスプ / 熱的現象 / アルベーン波 / オーロラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高緯度の極冠域境界において磁力線沿いに発生する超熱的電子バースト現象と電離圏F領域高度に生じる中性大気の局所的な加熱現象について、電離圏の上方で起きる電離圏アルベーン波共鳴がどのようにかかわっているのかを明らかにすることを目的としている。本年度は、次年度からの北極域での独自の地上磁場観測に向けて、京都大学において磁力計を中心とする自動観測システムを製作した。また、超熱的電子バーストが特徴的な赤色オーロラを引き起こすことから、これまでに極冠域境界付近で得られた赤色オーロラのデータを詳細に解析するとともに、そのオーロラの上空を飛翔するSwarm衛星の磁場・イオンドリフトデータを解析する環境を整え、動くメソスケールの赤色オーロラと磁場・イオンドリフトの特徴的な変動の同時観測の事例を見いだした。それにより、極域の高度500km 付近で同定されるアルベーン波は、緯度幅が20km 程度の領域でバースト的に強くなっていること、その領域は、超熱的電子バーストが生じている領域の端に対応していることが明らかになった。さらに、電離圏と熱圏のダイナミクスの数値シミュレーションモデルを用いた研究からは、電離圏アルベーン波共鳴を引き起こす電流を電離圏の遥か上方の高度 4000kmから入れると約1時間で高度350kmから400km付近を中心にして中性大気質量密度が局所的に増加する「セル」が形成され、このセルの増加量が、カスプ域においてこれまで衛星観測で得られている平均的な値を説明できることが分かった。また、セルは、高度300kmより下方のF領域において中性大気が加熱されて上方へと加速され、それが高度350kmから400kmの間で減速することにより生み出されていることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
観測システムの性能評価において当初の想定に反したことが生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
観測装置の製作については、予定している翌年度の北極域への設置に向けて、装置のテスト観測も含めて着実に進めていく。衛星データ解析については、地上のオーロラとの同時観測イベントを効率良く見い出せるように工夫をする。数値シミュレーションについては、観測との具体的な比較を視野に入れて改良をする。
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Research Products
(8 results)