2022 Fiscal Year Annual Research Report
Determination of elastic properties of magma under high pressure: To understand the behavior of magma in the interior of the Earth
Project/Area Number |
22H01317
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂巻 竜也 東北大学, 理学研究科, 助教 (30630769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 陽一 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (50700209)
大村 訓史 広島工業大学, 工学部, 准教授 (90729352)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マグマ / 溶融 / 弾性特性 / 高圧 / 高温 |
Outline of Annual Research Achievements |
SPring-8のBL04B1において、マルチアンビルプレスを用いた高温高圧実験とパルスエコーオーバーラップ超音波法を組み合わせることで、ナトリウムケイ酸塩メルトの弾性波速度測定を行い、圧力依存性・組成依存性を調べた。マグマの重合度によって、弾性波速度の圧力依存性が大きく異なることを明らかにした。圧力に対して単調に変化する結晶などの固体とは異なり、マグマの弾性特性が異常な振る舞いをすることを突き止めた。また、KEKのAR-NE5Cにおいて、二酸化炭素を含むケイ酸塩メルトのX線回折実験を行い、その構造解析に成功した。そして、二酸化炭素がケイ酸塩メルトのネットワーク構造に及ぼす影響やその圧力依存性を明らかにした。 SPring-8のBL43LXUにおいて、ダイヤモンドアンビルセルとX線非弾性散乱を組み合わせることで、20万気圧までの圧力条件下におけるペリドタイト組成ガラスの音速測定を行った。加えて、BL11XUにおいて同組成ガラスのメスバウアー分光測定を行い、160万気圧の圧力までのガラス中の鉄の挙動を理解することが可能となった。特に高圧下における2価/3価比や高スピン・低スピン転移に関する有益な実験データを取得することができた。 東京大学物性研のスーパーコンピュータおよび九州大学情報基盤研究開発センターの研究用計算機システムを使用することで、マントル最下部に相当する圧力130万気圧までペリドタイト組成マグマの弾性特性の圧力変化と局所構造および電子構造との相関をシミュレーションに基づいて解明した。上述した高圧実験結果を参照することで、計算方法、特にポテンシャルエネルギーに補正を加え、実験ではカバーできない細やかな圧力・温度ステップ、組成範囲で計算を行うことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究を進めており、下記にあるような成果を挙げている。 (1)マルチアンビルプレスを用いた高温高圧実験 SPring-8のBL04B1において、超音波法を用いることで、ナトリウムケイ酸塩メルトの弾性波速度測定を行い、圧力依存性・組成依存性を調べた。そして、マグマの重合度によって、弾性波速度の圧力依存性が大きく異なることを明らかにした。また、KEKのAR-NE5Cにおいて、二酸化炭素を含むケイ酸塩メルトのX線回折実験を行い、その構造解析に成功した。そして、二酸化炭素がケイ酸塩メルトのネットワーク構造に及ぼす影響やその圧力依存性を明らかにした。 (2)ダイヤモンドアンビルセルを用いた高温高圧実験 SPring-8のBL43LXUにおいて、X線非弾性散乱を用いることで、20万気圧までの圧力条件下におけるペリドタイト組成ガラスの音速測定に成功した。加えて、BL11XUにおいて同組成ガラスのメスバウアー分光測定を行い、160万気圧の圧力までのガラス中の鉄の挙動を理解することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチアンビルプレスを用いた高温高圧実験と超音波法を組み合わせることで、マグマの弾性波速度測定を行い、圧力依存性・組成依存性を解明する。加えて、X線回折法を用いた構造解析を行い、マグマの構造物性に関する新たな知見獲得を目指す。 ダイヤモンドアンビルセルとX線非弾性散乱を用いることで、最下部マントルまでの圧力条件下におけるケイ酸塩ガラスの音速測定を行う。加えて、メスバウアー分光測定を行い、高圧下におけるケイ酸塩ガラス中の鉄の挙動の解明を目指す。 マントル最下部に相当する圧力130万気圧までマグマの弾性特性の圧力変化と局所構造および電子構造との相関を解明する。高圧実験結果を参照することで、計算方法、特にポテンシャルエネルギーに補正を加え、実験ではカバーできない細やかな圧力・温度ステップ、組成範囲で計算を行う。本研究におけるシミュレーションは、東京大学物性研のスーパーコンピュータおよび九州大学情報基盤研究開発センターの研究用計算機システムを使用して行う。
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