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2023 Fiscal Year Annual Research Report

地球深部の水の拡散・移動特性の解明

Research Project

Project/Area Number 22H01322
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

西 真之  大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10584120)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 近藤 忠  大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (20252223)
桑原 秀治  愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助教 (50505394)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywords地球・惑星内部構造 / 水循環 / マントル / 相転移カイネティクス / 中心核
Outline of Annual Research Achievements

近年、地球内部の高温高圧状態において含水化する鉱物が相次いで発見されたことから、マントル対流により駆動される地球内部の大規模な水循環と、その地球ダイナミクスへの影響が盛んに議論されている。我々の研究グループは、中心核―マントル境界の化学反応を促進する成分としてマントルに少量含まれる「水」に着目している。これまでに、高温高圧かつ水を含んだ環境下での鉱物と金属鉄間の反応実験を行い、いくつかの新たな知見を得ている。特に重要な発見として、水を含んだ環境下では、鉱物と金属鉄間の化学反応により酸化鉄に富む反応帯が生成されること確認した。この反応帯は無水環境下では形成されないことも確認しており、水成分が核とマントルの化学反応を推進することを見出した。本研究は複数の学会で発表し、国際誌へ学術論文として投稿中である。さらに、金属鉄の組成をFeSiとした実験から、上記反応による鉄ー鉱物間のSiの分配を観察した。この結果がマントルと中心核の地震学的観測結果に与える影響を数値計算を含めて考察中である。
関連実験として上記実験の出発物質用に高圧合成した含水ブリッジマナイトと無水ブリッジマナイトについて、大型放射光施設SPring8にて高温下XRD測定を行った。ブリッジマナイトの非晶質化時に高い応力が発生し、これが相変化のメカニズムに影響することが明らかとなった。この結果は隕石の相変化カイネティクスの理解に応用できる可能性があり、国際誌に出版された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当該年度では、愛媛大学設置のマルチアンビル型装置を用い、25万気圧かつ1500Kから2500Kの温度条件下において、水を含むブリッジマナイトと金属鉄間の反応実験を行った。金属鉄の状態は高温側では固相から液相へと変化するが、いずれの場合でも反応帯の形成が確認されている。無水条件下ではこの反応帯は形成されておらず、水が反応帯形成に重要な役割を果たすことが確認された。FE-EPMAを用いた回収試料の化学組成マッピングから、反応帯形成のメカニズムを考察したところ、水成分が存在することにより金属鉄の浸透と原子の高速拡散が起こることが示唆された。本結果は国際誌に学術論文として投稿・審査中である。一方で当初の目的の一つである、水成分の拡散係数の定量化については実験が進んでいないが、上記の化学反応のメカニズムに基づき、先行研究による既知の鉱物の拡散係数から独自の計算を行っている。
上記実験は、当初想定していなかった研究へも発展した。出発物質として合成したブリッジマナイトやスティショバイトについて、水に関連する相変化反応のカイネティクスの知見を得るために高温非晶質化実験を実施したところ、非晶質化のカイネティクスが非晶質化起因の応力の発生により著しく変化することを見出した。この結果は衝撃を受けた隕石に残る高圧鉱物からその残留温度を見積もるための新たな指標となりうるとして、国際誌に発表している。

Strategy for Future Research Activity

本研究では、核マントル境界の化学反応を促進する成分としてマントルに少量含まれる「水」に着目しており、既に(1)高温高圧かつ水を含んだ環境下では鉱物と金属鉄間の水素と酸素の分配反応により酸化鉄に富む反応帯が生成されること確認し、国際誌へ投稿した。また、(2)下部マントル条件において水輸送を担う含水鉱物AlOOHと無水鉱物スティショバイトSiO2の部分的な固溶を実験により観察した。本年度はこれらの実験をそれぞれ発展させる。
(1)については、水を含む環境下で鉱物と Fe-Si 合金を反応させ、核―マントル間の相互作用を、より現実的な系において解明する。下部マントルの構成候補物質である含水ブリッジマナイトとFeSi 合金をペアとして張り合わせた反応実験を、マルチアンビル型装置を用いて行う。目標圧力条件は 25 GPa,2000 °Cとする。回収試料の相同定はX線回折法により行い、出現相の化学組成はEDS機能を搭載した電子顕微鏡により分析する。得られた実験結果から、鉄中のSiの移動に着目し、水が中心核とマントルに及ぼす影響を考察する。
(2)については様々な温度圧力条件下でAlOOH-SiO2系の相平衡実験を行う。焼結ダイヤモンド製アンビルを用いることで、最大50万気圧, 2000℃の条件を達成する。得られた回収試料の化学組成から、下部マントルのホスト鉱物について無水鉱物および含水鉱物の両面からの知見を得る。

  • Research Products

    (5 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Effect of grain size on amorphization mechanism and kinetics of bridgmanite in shocked meteorites2023

    • Author(s)
      Nishi Masayuki、Jin Si、Kawano Katsutoshi、Kuwahara Hideharu、Yamada Akihiro、Kawaguchi Shogo、Mori Yuki、Sakaiya Tatsuhiro、Kondo Tadashi
    • Journal Title

      Progress in Earth and Planetary Science

      Volume: 10 Pages: -

    • DOI

      10.1186/s40645-023-00572-0

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 核・マントル境界における水と鉄の交換反応2023

    • Author(s)
      河野 克俊・西 真之・柿澤 翔・井上 徹・桑原 秀治・近藤 忠
    • Organizer
      日本鉱物科学会2022年年会
  • [Presentation] 核―マントル境界における水と鉄の交換反応2023

    • Author(s)
      河野 克俊・西 真之・柿澤 翔・井上 徹・桑原 秀治・芳野 極・近藤 忠
    • Organizer
      第64回高圧討論会
  • [Presentation] 衝撃を受けた隕石中におけるスティショバイトの高温非晶質化カイネティクス2023

    • Author(s)
      西 真之・副島 美優・大野 正和・三浦 巧・鶴岡 椋・森 祐紀・河口 彰吾・新名 亨・境家 達弘・近藤 忠
    • Organizer
      第64回高圧討論会
  • [Presentation] Iron-water exchange at the earth’s core-mantle boundary2023

    • Author(s)
      河野 克俊・西 真之・柿澤 翔・井上 徹・桑原 秀治・芳野 極・近藤 忠
    • Organizer
      JpGU Meeting 2023
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2024-12-25  

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