2023 Fiscal Year Annual Research Report
摺動中のDLC膜の2次元逐次構造評価によるトライボフィルム生成反応の解明
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22H01355
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤坂 大樹 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80500983)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ダイヤモンド状炭素膜 / トライボフィルム / 逐次構造評価 / sp2結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は摺動によるダイヤモンド状炭素(DLC)膜と摺動油などの反応を検出すべく実験を進めた.放射光を用いたX線吸収端近傍構造(NEXAFS)等のX線吸収分光(XAS),さらには中性子散乱分光等の量子ビームを用いた測定しながら摺動による膜表面に生成するトライボフィルムや膜の表面近傍の構造変化を検出する為のピン接触型摺動試験機を設計製作した.製作した摺動試験機をタイ放射光研究所に持込,放射光と摺動試験系の干渉についての検証や,電源などのインフラの繋ぎ込み等をビームラインBL5にて確認した.摺動試験機の改善が必要となったため,改造を実施し,2024年度のビームタイムの確保を行った.この後,2024年10月ごろにBL5で測定を実施予定である.測定する対象となる元素(ZnおよびNi)等のX線吸収領域のビームの試射も装置を用いて実施した.この放射光を用いた逐次X線吸収分光測定システムの構築に向けて放射光機関との打ち合わせも終わり,摺動油及び極圧添加剤などの準備及び内容物の分析を実施し,2024年度はこれらをDLC膜表面に塗布して測定を実施する.摺動に伴うDLC膜の構造の変化を予め,推定しておくため同放射光施設のビームラインBL3.2に設置されているX線光電子顕微鏡を用いて,摺動に伴う摺動油中の極圧添加剤との反応についても評価を実施している.今後,このエネルギー領域の放射光を用いて上記の摺動しながらの逐次評価を行う.更に,2023年は2024年度を見据え,中性子研究センターとの中性子散乱の逐次測定に関しても調整も実施している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイヤモンド状炭素(DLC)膜の放射光施設での実験に向けての装置の製作及び調整、更には放射光施設側との日程および放射光ビームラインの調整も順調に行ってきており、2024年度に向けての準備も順調に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はダイヤモンド状炭素(DLC)膜の摺動について今後は,ポリアルファオレイン(PAO)等の摺動油とジアルキルジオリン酸亜鉛(ZDTP)等の添加剤を導入した実際の摺動環境下での放射光分光を実施しながらの摺動試験に移行していく.この摺動を行うことで、これらの摺動に伴う元素の結合状態が如何に変化していくかを評価していく予定である.この測定を基に,摺動によりDLCおよびそこに塗布される摺動油,さらには極圧添加剤などがどのように摺動による熱及び圧力により,反応して変化していくかを明らかとする予定である.
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Research Products
(5 results)