2023 Fiscal Year Annual Research Report
Coexistence of wrinkles and folds in film–substrate systems in contact with water droplets
Project/Area Number |
22H01360
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永島 壮 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (80800317)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 成志朗 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (40823638)
奥村 大 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70362283)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 表面不安定現象 / 表面張力 / リンクル / フォールド / 薄膜 / 固体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,薄膜の表面に接触した水滴が駆動する表面不安定現象に着目し,その発生機構と制御原理を解明することである。特に,水滴の接触を起点として生じるリンクルからフォールドへのパターン変態を対象とし,顕微鏡その場観察実験と有限要素解析,理論構築の融合研究を実施し,上記の目的を達成する。 本年度の研究実績は,次の通りである。実験においては,ポリジメチルシロキサンを基板とし,その表面に白金のナノ薄膜を形成してリンクルを作製した。リンクルを作製する際には,薄膜に付与する面内圧縮ひずみおよび膜厚を様々に変化させた。次に,水滴をリンクルの表面に静置し,フォールドへのパターン変態が生じる条件について検討した。これまでの研究から,膜表面の親水性がパターン変態の影響因子であることを明らかにしているため,水滴の静置に先立ちリンクルの表面を酸素プラズマで親水処理した。圧縮ひずみが1%から3%の範囲においては,膜厚が7 nm以下のときは,パターン変態が生じることを明らかにした。有限要素解析においては,汎用ソフトウェアAbaqusを用い,リンクル・フォールド変態の影響因子について調査した。水の表面張力,基板の弾性率,および膜厚により無次元化した集中荷重をリンクルの頂点近傍に作用させ,パターン変態の有無を調べた。このとき,荷重の作用方向は,表面の濡れ性(水滴の静的接触角)に応じて決定し,リンクルを生成するために付与するひずみを様々に変化させた。その結果,表面張力とひずみに応じてフォールド変態の有無ならびにフォールドの発生間隔が変化することを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の実施計画は,顕微鏡その場観察実験と有限要素解析,理論構築により,水滴接触を起点としたフォールド変態に及ぼす圧縮ひずみ,膜厚および弾性率比の影響を明らかにすることである。理論構築においては,当初の計画より遅れが生じているが,実験と有限要素解析においては,上述の通り有益な成果を獲得している。以上より,おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,実験・有限要素解析・理論構築を発展させ,フォールド変態の制御機構を明らかにする。また,水滴の蒸発後にもフォールドが保持されるメカニズムを明らかにする。
|