2023 Fiscal Year Annual Research Report
磁場応答性ゲルを用いた基板弾性率制御による幹細胞ステムネスの長期保持技術の開発
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22H01365
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森田 康之 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (90380534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小俣 誠二 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (60624814)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 磁場応答性ゲル / 弾性率 / 磁性粒子 / 幹細胞 / ステムネス / 刺激応答性高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞(MSC)のステムネスの減弱は,培養中のMSCが基板の弾性率を感知し,弾性率に応じた特定の体細胞に分化することから生じるため,MSCに培養基板が一定の弾性率であることを記憶させないことが重要である.そこで本研究は,MSCのステムネス減弱を防ぎ,ステムネスを長期的に保持する技術の開発に取り組む.それを実現するために磁場応答性ゲルを用いる.磁性粒子を分散させたゲルを培養基板とし,磁場印加により培養基板の弾性率を制御し,MSCのステムネスを長期保持する技術を開発することを目的とする. 二年目は,研究実施計画に示すとおり,(2)MSCを長期培養する際,培養基板の弾性率を能動的に変化できるようにするため,磁場印加による磁場応答性ゲルの弾性率変化の評価を行った.それを達成するため,まずは磁場印加装置の改良を行った.すなわち,ヨーク形状を円錐形から直方形に変更し,磁場応答性ゲルに作用する磁界の一様性を高めた.さらに,磁界を発生するソレノイドコイルがこれまでは一つであったが,相対方向にもう一つのソレノイドコイルを新たに設置した.これにより,磁場応答性ゲルに作用させる磁場の交流化が可能となり,装置の機能および自由度が高まった. 改良した装置を用い,磁性粒子を分散させたゲルに磁場を印加した.それに伴う磁性粒子の動きを動画により捉え,デジタル画像相関法により数マイクロメートルの変位挙動を全視野で定量的に可視化することに成功した.その挙動から,弾性および粘性の定量的評価に成功するとともに,線維性ゲルに起因するゲル中の局所的機械的特性の不均一性について実験的に立証することに成功した.これらの結果により,当初の計画であった磁場印加による磁場応答性ゲルの弾性率変化の評価という目標を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに進展しているため.
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書の実施計画にも示したとおり,この作製した磁場応答性ゲルを用いて実際に間葉系幹細胞を培養する.そして,磁場印加によりゲル弾性率を変化させ,幹細胞の機能・特性変化,ひいてはステムネス状態を評価する.
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