2022 Fiscal Year Annual Research Report
次世代発電サイクル創成のための超臨界二酸化炭素流動の解明と数理モデル構築
Project/Area Number |
22H01395
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古澤 卓 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (80637710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 貴範 岩手大学, 理工学部, 教授 (20902365)
山本 悟 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (90192799)
宮澤 弘法 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (20844335)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 数値流体力学 / 超臨界二酸化炭素 / 非平衡凝縮 / ブレイトンサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
超臨界二酸化炭素を用いた発電サイクルは間接加熱方式および直接加熱方式に大別され,米国ではSTEP (Supercritical Transformation of Electrical Power)プロジェクト,ヨーロッパではHorizon 2020 SOLARSCO2OLプロジェクトが実施されているなど,環境適合性およびエネルギー効率の観点から急速に研究が進められている.間接加熱方式の超臨界二酸化炭素ブレイトンサイクルでは主に圧縮機やタービンの回転機械と熱交換器で構成されており,臨界点近傍で運転されるため臨界点近傍では密度や定圧比熱などの熱物性値が急激かつ連続的に変化することが知られており,圧縮機内部流動や熱交換器内部の超臨界二酸化炭素の非定常流動について十分に明らかになっていなかった.特に圧縮機内部では局所的な温度,圧力の低下から局所的に二酸化炭素が凝縮することから液滴生成による損失,液滴衝突による機器の摩耗などが予想されているものの,液滴成長が流動や損失へ与える影響は明らかになっていない.本研究では遠心圧縮機流動,熱交換器流動の数値解析および熱伝達特性の解明およびサイクルへの影響について明らかにすることを目的としている.本年度は臨界点近傍条件および低圧条件における遠心圧縮機内部流動について非平衡凝縮モデルを用いた流動解析を実施して,圧力条件の差異が凝縮および流動に与える影響を評価し,圧力条件によって非平衡凝縮に差異が生じることを明らかにした.これらは液滴生成による損失,液滴衝突による損傷の予測に資する結果となった.さらに加熱管路内部の超臨界流体流動の解析を実施して臨界点近傍における熱物性値変化の影響を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は遠心圧縮機対象とした超臨界二酸化炭素の流動解析を実施した.臨界点近傍条件および低圧条件における翼面近傍の非平衡凝縮を相互に比較することでそれぞれの圧力条件における凝縮の影響を明らかにした.一方で,臨界点近傍の熱物性値変化および過冷却条件の影響によって数値計算の不安定性が顕著となることが明らかとなった.今後は新たな計算手法の構築が必要となり,さらに過冷却条件下の二酸化炭素の熱物性値モデルを構築する必要性がある.加熱管路内部の超臨界流体の流動解析については,まず臨界点近傍の炭化水素流動問題への適用を行い乱流渦と加熱流れの関係を解明することができた.さらに化学工学分野における超臨界流体の混合流動への展開などを行うことができたことから,エネルギー分野のみならず様々な分野への展開が期待できる結果を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度については,加熱管路流動について基礎実験およびLES計算を用いた超臨界二酸化炭素流動の解明を目指す予定である.特に臨界点近傍では熱物性値変化の影響によって流動の不安定性が大きくなることが知られており,実験および数値計算の両面から臨界点近傍流動を解明する.また,回転機械内部における液滴衝突の影響を明らかにするために流れに追従しない液滴衝突の数理モデルを構築してブレード面の衝突位置を推定することのできる数値計算手法を構築する.まず常圧常温条件下流動における速度非平衡モデルを構築して基礎実験等との比較を実施する.さらに超臨界流体のLES流動解析手法を様々な分野へ展開する.
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