2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22H01399
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
北川 石英 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 教授 (80379065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 知弘 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 教授 (50294260)
外岡 大志 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 助教 (50745031)
渡村 友昭 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 助教 (40777736)
村井 祐一 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80273001)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 混相流 |
Outline of Annual Research Achievements |
抵抗低減・伝熱促進・反応促進技術では,壁面近傍での分散体のサイズ・挙動・分布構造が機器性能に直接的影響を与える.本研究では,濡れ性操作によって表面の機能化を図り,分散体挙動・分布構造を自在に制御することを目的として,スケールの異なる4つの流れ場,流場①「マイクロチャネル流れ」,流場②「界面衝突流れ」,流場③「水平チャネル流れ」,流場④「テイラークエット流れ」を対象とした調査を実施した.その結果,流場①では,親水性・疎水性部分をマイクロパターニングしたガラス基板上で微小な水滴がアレイ状に形成されることを確認した.流場②では,実験に対して,固定された物体後流の遷移が過去の文献で示された結果と定性的に一致することを確認し,数値計算に対して,複数の相を取り使うことが可能な multiphase-field 法を構築した.流場③では,機能表面を利用した移流気泡群の一方向輸送実験を行い,撥水面を二分割することにより,高レイノルズ条件下での気泡輸送率の向上に成功した.最後に,流場④では,テイラークエット流れ場に気体を注入した場合の移流・拡散プロセスの計測を行い,高速移流気泡群と集積定在気泡群の2つが共存する気液二相流を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流場①「マイクロチャネル流れ」:表面性状と水・油流れの制御による均一形状微小水滴の大量形成を目的として,親水性・疎水性部分をマイクロパターニングしたガラス基板をフォトリソグラフィ技術により作製し,その表面に空気中で水を垂らした際に,微小な水滴がアレイ状に形成されることを確認した. 流場②「界面衝突流れ」:実験では,ロードセルと電動スライダから構成される固体物体・界面衝突装置を製作し,それを利用して,固定された物体後流の様子を可視化観察した結果,後流の遷移が過去の文献で示されたものと定性的に一致することがわかった.一方,数値計算では,複数の相を取り使うことが可能な multi-phase-field 法を構築し,幾つかの数値シミュレーションを通してその精度を評価した.また,固体壁面上での気泡挙動が評価できるように本手法を改良した. 流場③「水平チャネル流れ」:撥水面と親水面から構成される機能表面を有する水平チャネル内気泡流において,移流気泡群の一方向輸送実験を行った.撥水面と主流との角度が30°のもと,レイノルズ数が2000~7000の範囲では,親水面上に1つの撥水面を設けた場合,低レイノルズ数条件下では高い気泡輸送率を示すものの,高レイノルズ数条件下では気泡輸送率が著しく低下することがわかった.一方,撥水面を二分割することにより,高レイノルズ条件下での気泡輸送率の向上に成功した. 流場④「テイラークエット流れ」:レイノルズ数が10^4~10^6におけるテイラークエット流れ場の中で1点から気体を注入し,その移流・拡散プロセスの計測を実施した.その結果,気泡が階段状の粗密を形成しながら浮上し,高速移流気泡群と集積定在気泡群の2つが共存する気液二相流を実現した.この結果はOne-Way解析による予想とは異なり,本来は単相流条件で衰弱しているはずの乱流テイラー渦が気泡混入により復元されるというTwo-Way干渉過程の発見に至った.
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Strategy for Future Research Activity |
各流れ場に対する研究の推進を図るための方策を以下に示す. ・流場①「マイクロチャネル流れ」:ガラス基板上の微小水滴の形状に影響を与える要因は,基板表面のマイクロパターンの親水度・疎水度と,基板表面での水・油の混合流れである.現状,後者に関する知見が極めて少ないことに鑑み,形成される水滴の形状と基板上での一様流れとの関係を詳細に調査する. ・流場②「界面衝突流れ」:気液界面に衝突する物体を治具によってサポートする場合,治具の存在は衝突物体の後流構造の正確な理解の妨げになる.治具の最小化に加えて,物体への取り付け方法を工夫することにより,治具が衝突物体後方の流れに与える影響を可能な限り取り除く. ・流場③「水平チャネル流れ」:撥水面の利用による乱流中の移流気泡の捕獲には,撥水面と親水面の濡れ性が大きく変化する撥水面エッジ部の存在が重要である.撥水面を複数分割し,エッジ領域を拡大することで,気泡群の一方向輸送のための気泡捕獲性能の向上を図る. ・流場④「テイラークエット流れ」:高速流れであるテイラークエット流れにおいてその中を浮上する気泡群を撥水面で効率良くトラップするために,気泡運動方向を考慮した最適な撥水面の設置方法を調査する. 今後,北海道大学・堀本 特任助教に,研究協力者として本研究に参画していただくことで,気泡流乱流に対する壁面濡れ性の依存性調査の推進を図る予定である.
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Research Products
(6 results)