2023 Fiscal Year Annual Research Report
Functional improvement of mixing promotion in fluid equipment by elucidating the universal statistical law of two-phase turbulence
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22H01403
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 宏充 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (60317336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 理央 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (20760573)
湯井 悟志 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任助教 (70965102)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 量子乱流 / 数値流体力学 / 超流動ヘリウム / 2相乱流 / 混相流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、量子乱流・常流体乱流の2相乱流と通常の2相乱流は何がどう異なるのか、その際の普遍統計法則はどのようなものかを解明する。そこで、今年度の目的を、これまでの実験から得られた常流体と超流体の間の相互摩擦力のモデル係数を利用する場合と最近提案された実験結果を必要としない理論的なモデルの検証を実施することとした。本目的を達成するために、量子渦輪が収縮しながら進行する様を可視化した実験の再現を行った。実験では、量子渦輪の可視化のために重水素の固体粒子を渦輪に10個程度を付着させている。その付着粒子による相互摩擦力も加味した数値計算を実施した。 その結果、収縮する渦輪の半径の時間変化は、理論的なモデルのほうが、実験結果をよく説明することがわかった。本結果は、実験結果に寄らない自己完結型のモデルの進展という観点で、大変重要な結果である。本結果は、Nature Communicationsに掲載され、注目を集めている。 また、周期的な外力を与えた常流体の一様等方性乱流中で、量子乱流を発現させた場合、量子渦がバンドル状になり、-5/3乗を示すエネルギースペクトルが低波数で得られることがわかった。一方、熱対向流のように常流体と超流体の平均相対速度が存在する場合は、相互摩擦力による常流体への巻き付きよりも相対速度による移流効果が上回り、バンドルを形成しないことが分かった。このとき、先の-5/3乗則を示す準古典乱流に対して、-1乗則のエネルギースペクトルとなる。これはVinenによって提唱される超量子乱流状態であると考えられる。これらの違いが古典乱流と量子乱流の統計則の違いの一つであると考えられ、重要な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
量子渦による誘導速度を、ビオサバール則から直接計算する代わりに、高速多重極展開法(Fast Multipole Method:FMM)を利用することで、渦点数Nに対してNの二乗から一乗のオーダーの計算量となり、高密度の量子渦乱流計算が可能となったものの、壁境界条件への適用が遅れているから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、相互摩擦力のモデルとして、従来から用いられている実験結果に基づく係数を利用したモデルと最近提案された実験結果に依存しない理論的なモデルを渦輪の進展以外の状況、例えば再結合や熱対向流の状況で、どのような違いを与えるのか、それぞれのモデルの適用範囲についても検討を深める。また壁境界へのFMMの適応を検討し、壁近くでの2相乱流の振る舞いについて検討を行う。
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