2022 Fiscal Year Annual Research Report
長期常温保存を実現するリポソーム薬剤の常温乾燥製剤プロセスの開発と設計
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22H01409
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白樫 了 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80292754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 弘明 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (50847994)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 常温乾燥保存 / リポソーム薬剤 / 乾燥保護物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,バイオ薬剤のモダリティの一つとして重要な形態である,薬効成分となるタンパク質や核酸等の高分子を内包したリポソームの常温高品位保存の手法の開発を目的としている.即ち,耐乾燥保護物質が添加された水溶液にリポソームを分散・薄液膜化することで,常温真空乾燥により薄膜分散液全体をガラス化させる手法の設計・開発を行う.さらに,乾燥・復水したリポソームの形態や内包した薬効成分の活性の劣化・安定性を調べ,本手法の有効性を評価する. 当該年度では,疑似薬効成分を内包しない直径200nm程度のリン脂質(L-α-ホスファチジルコリン;L-α-PC)を原料としたリポソームを作成し,保護物質であるトレハロースやε-PLL(ポリリジン)をリポソーム内外に含有させた場合の真空乾燥後の保護効果を,乾燥前後の粒子径分布と粒子数を測定することで評価した. その結果,純水のみを内包するリポソームは,乾燥後は乾燥前の粒子数や粒度分布状態を維持できなかったが,ポリリジンやトレハロースを内包した場合は,再水和に内包物と同じ水溶液を用いた場合は,乾燥後でも乾燥前と同様の粒子数や粒度分布状態を維持できることがわかった.特にポリリジンを内包したリポソームは,乾燥前後で粒子数や粒度分布状態がほとんど変わらない結果が得られた.また,乾燥試料を赤外分光した結果,これらの保護物質を内包したリポソームの内包水溶液の溶質(保護物質)は,真空乾燥後に結晶化していないことが示唆され,ガラス化していると考えられる.従って,薬効成分を内包した際に同成分の構造が維持される可能性が高いと推測できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
真空乾燥において,リポソーム懸濁液の薄液膜試料を生成させる手法や,動的光散乱法で得られる散乱光強度とその時間変化分布から,粒子数分布(粒度分布ではなく)を算定する手法に手間取ったものの,予定していた内容について,ほぼ結果を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降は,下記の4点を行う. 1.疑似リポソーム薬剤を作成する.疑似薬効成分として,環境に敏感なタンパク質である乳酸脱水素酵素(LDH)をリポソームに内包する. 2.疑似リポソーム薬剤内のみのLDHの酵素活性の測定方法を確立する. 3.トレハロースやε-PLLを添加した疑似リポソーム薬剤を薄膜真空乾燥し,その前後における疑似リポソーム薬剤内のLDHの酵素活性を測定することで,保護物質の薬剤保護効果を調べる. 4.3に加えて,疑似リポソームのリポソーム自体の乾燥前後の健全性を,粒子径分布と粒子数を測定することで評価する.
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Research Products
(1 results)