2023 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外化学イメージング法の確立と反応拡散分析・制御への応用
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22H01417
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
角田 直人 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (70345437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 克哉 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (00295750)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 反応拡散分析制御 / 近赤外分光法 / 化学イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロ領域における化学反応時の全成分濃度と温度の同時イメージング法を確立し、拡散係数と反応生成率の空間分布を求めることが本研究の目的であり、2023年度は特に中和反応に関するデータベース構築と拡散係数の算出法を確立することを目標とした。具体的には以下の項目を実施した。 (i)スペクトル測定:酸、アルカリ、塩の近赤外吸収スペクトル測定を実施し、データベースを作成した。 (ii)波長選定と回帰モデル構築:測定したスペクトルをケモメトリクス分析し、部分的最小二乗回帰(PLS)回帰を基盤とした逐次投影アルゴリズム(SPA)や競合適応再重み付けサンプリング(CARS)、サポートベクターマシーン(SVM)などの方法を予測誤差が最小となるように組み合わせ、非共線性を抑制した濃度推定のための回帰モデルを構築した。回帰モデルについてもデータベース化した。 (iii)分光画像取得と精度検証:上記の水溶液試料の濃度と温度を予測し、精度を求めた。ほとんどの成分に対して、濃度分解能0.1 Mと温度分解能0.2 Kを達成した。マイクロ流路内で酸と塩基の界面反応させ、塩の生成および拡散の様相を濃度分布として表示した。 (iv)拡散係数分布の算出:濃度の空間分布と拡散方程式をベースにして、中和反応時の酸、塩基、塩の拡散係数分布を求めた。反応界面では文献値よりも大きい拡散係数が得られ、温度依存性および濃度依存性の影響を定量的に確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(i)スペクトル測定、(ii)波長選定と回帰モデル構築、(iii)分光画像取得と精度検証、(iv)拡散係数分布の算出を概ね計画通りに実施することができた。モデル構築では、いくつかのアルゴリズムを比較検証して、中和反応に適した濃度予測モデルを提案し、今後の反応拡散研究の基盤が作られたといえる。また、中和反応時の複数成分の拡散係数分布の推定は世界で初めての成果といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
スペクトルと回帰モデルのデータベースの一層の充実を推進する。これにより多くの成分に対しての可視定量的な分析が可能になるため、本研究課題のみならず、今後の反応拡散研究に寄与する。課題として、データ取得と解析に多大な時間と労力が掛かることが挙げられるが、本研究期間では主要な化学反応と成分を対象に、計画的かつ効率的に取り組み、方法と結果の有効性を証明していく。
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