2022 Fiscal Year Annual Research Report
極微量液滴内の分離・濃縮・混合・分析を実現する樹脂製マイクロ熱流体デバイスの創製
Project/Area Number |
22H01418
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田口 良広 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30433741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 慎 明治大学, 理工学部, 助教 (20847016)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 熱物性 / 拡散係数 / 光誘起誘電泳動 / 液滴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、熱物性工学に基づき、ピコリットルオーダの極微量液滴内において、エクソソームなどのナノバイオ試料の分離・濃縮・混合・分析を小型・安価な樹脂製チップで実現し、Lab-in-a-Droplet(液滴内統合分析システム)を世界に先駆け実現することである。開発する樹脂製マイクロ熱流体デバイスは、光誘起誘電泳動を用いて液滴内ナノバイオ試料および液滴自身を高い自由度でマニピュレーションし、夾雑物の分離とナノバイオ試料の濃縮・混合ならびに拡散係数モニタリングによる構造分析を同時に達成する。2022年度は各要素技術について開発を行い、以下に示す具体的な成果を得るに至った。 (1)種々の液滴列を高い安定性で生成するシステムの構築:エクソソームなどのナノ試料を内包したピコリットルオーダの液滴列を安定して生成するシステムを開発した。特に極微量液滴列の操作スピードを自在にコントロール可能な流路デザインと送液パラメータを決定した。特に、液滴列について前進・後進が可能なシステムを構築することに成功した。 (2)光誘起誘電泳動を用いた液滴マニピュレーション技術の開発:光誘起誘電泳動を用いた極微量液滴の位置を自在にコントロール可能なマニピュレーションパラメータを決定した。さらに、内包した種々のナノ試料に対して、適切な励起パラメータを明らかにした。また、2つの液滴を融合したり、1つの液滴を分割したりすることが可能であることが分かった。 (3)フェムト秒レーザを用いた二光子吸収による樹脂製ナノ構造アンテナの構築:樹脂製基板において高効率な光誘起誘電泳動励起を実現するために、成膜レシピについて検討を行い、成膜温度、水素ガス流量等について最適なパラメータを決定した。また、電場増強を目的としたアンテナ構造について解析を行い、光誘起誘電泳動力の増大が可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初計画していた研究実施項目について、全ての目標を達成することができた。特にピコリットル液滴を自由自在にマニピュレーション可能になったことは大きな成果である。液滴の搬送スピードをコントロール可能なマイクロ流路構造を新たに提案するとともに、光誘起誘電泳動でマニピュレーション可能な最大流量を明らかにすることに成功している。さらに、複数の液滴の融合や液滴の分割を光誘起誘電泳動で実現できたことは、夾雑物の分離やナノバイオ試料の濃縮の実現に大いに貢献する意義深い成果である。以上のことから、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
提案手法を実在系に適用するためには、赤血球などの非常に大きな夾雑物の分離を行わなければならない。そこで、プレ濾過としてクロスフロー濾過を用いたフィルタリング手法を樹脂製マイクロ熱流体デバイスの融合することを検討している。樹脂製マイクロ熱流体デバイスに種々の機能を有したマイクロ流路を積層するためには、樹脂製基板の接合技術が非常に重要になると考える。今後は樹脂製基盤の接合方法についても検討を行っていく。 また、エクソソームなどのナノバイオ試料は誘電特性が明らかになっておらず、光誘起誘電泳動力がどの程度発生するかが不明である。エクソソームのマニピュレーション適用性について解析的・実験的に明らかにする。
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Research Products
(3 results)