2022 Fiscal Year Annual Research Report
Higher-order tactile measurement system with consideration of tactile individuality
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22H01437
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 真美 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80271873)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 触覚・触感 / 高次な触覚 / 個性 / 触覚・触感計測システム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、サンプルの作製や指先の特徴の変化方法の検討や、指光干渉断層像機器(OCT)を用いた計測と振動に対する感度の調査を、それぞれ行った。測定サンプル用に、「粗さ」、「硬さ」、「粘性」に関して各数種類ずつ組み合わせた人肌ゲルを作製した。作製したサンプルについて、ヤング率などの物性値や申請者がこれまで開発した触覚・触感計測用センサを用いて計測を行い、それらの特徴を把握した。 被験者の指先の個人差を見るために、各被験者の指先の特徴を計測することを当初検討していたが、指先特性計測など予備実験を行ったところ、各人の違いが分かりにくいことが分かった。そこで、各人の指先を水に湿潤させ、その後ワセリなどを塗布するなど行い指先の特徴を変化させ、その際の特性を調べることで対応することとした。被験者の各指先状態での、押し込み試験機によるヤング率計測や水分含有量などを計測した。今年度はこれらの計測を行い、指先の特徴の変化のさせ方についての検討を行った。 また、被験者の指先に変位や力を加えて、変形させたときの指内部の変化の様子をOCTを用いて計測した。OCT計測装置では指先の水平方向に動かしての接触動作を模擬して、指先は位置固定として、指先元に接触している対象物となるガラス板を指先の水平方向にモータで走査させ、その時の指表面の変化について計測し、表皮の横弾性定数の計測を行った。さらに指先の振動の感度を測るために、指先に対して水平方向の刺激を与えられるように圧電素子を用いた振動刺激装置を作製した。周波数や振幅の大きさが変化可能な振動刺激装置を用いて、被験者の最も感度が高くなる周波数や振幅に対する感度を調査した。周波数は10Hzから300Hzまで変化させ調べたが、OCT計測によって求めた表皮の横弾性係数の大きさと水平方向の振動の40Hz以下の低周波数域での感度の違いに相関があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、2022年度は、(I)測定サンプルの物性値および触覚センサでの計測、(II)人の特徴計測のための装置製作やその計測、(III)サンプルの官能評価の実施と触動作および脳活動計測の3つを取り組む予定であった。(I)は予定通り実施できた。(II)については、人の指の特徴については、指先の個性について検討したいと考えていたが、予備実験で各人の指先を計測したところ、大きな差異を見出すのが困難であった。そこで、各人の指先に積極的に変化を与えるための指先を水に湿潤することや、ワセリンを塗ること、クリームを塗ることなどの様々な条件について検討し、その変化の様子を計測し実験条件を検討した。一様な条件になるように、ワセリンやクリームを塗った後の拭く装置も作製した。そのような条件下で指先の変化について計測調査し、条件出しをした。また(II)に関しては、被験者の指先に変位や力を加えて、変形させたときの指内部の変化の様子を光干渉断層装置(OCT)を用いて計測と、指先の感度計測装置の開発並びに感度の計測を行った。OCT画像装置から求めた表皮の横弾性定数と水平方向の感度の関係については、OCT計測によって求めた表皮の横弾性係数の大きさと水平方向の振動の40Hzまでの低周波数域での感度の違いに相関があることを確認した。これは2023年度に行う予定であった(IV)(I)~(III)の関係調査と触覚の個性特徴情報抽出の部分となり、当初の計画以上に進展したと言える。しかしながら(III)に関しては官能評価や触動作計測などの準備や実施などは行えたが、NIRSを用いた脳活動計測の部分は未達となった。以上のことより(I)はおおむね順調に進展している、(II)は当初の計画以上に進展している、(III)一部は未達の部分があるためやや遅れているが、2022年度の進捗を総合的に判断すると概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績や進捗状況でも述べたが、研究実施前に考えていた個人の指の特徴については、各人の指先の個性で検討できると考えていたが、予備実験で各人の指先を計測したところ、大きな差異を見出すのが困難であったため、各人の指先に積極的に変化を与える指先を水に湿潤することや、ワセリンを塗ること、クリームを塗ることなどの様々な条件について検討し、その変化の様子を計測し実験条件を決定した。今後も複数の被験者で計測等は行うが、指先の状況を変更させるようなことも行いながら調査検討していく。 また、進捗状況でも述べたように、(III)NIRSを用いた脳活動計測は行えなかったため、次年度入手後すぐに計測等を行っていく。ただし、NIRSを用いた脳活動計測は当初の予定の「粗さ」、「硬さ」、「粘性」を変えて作成したサンプルでは差異が小さすぎることも考えられるため、基礎実験として差異が大きいサンプルを対象とすることも検討しながら、判別実験など行いながら脳の賦活領域などを計測していく。2022年度計画予定だった(I)、(II)、(III)の改良を基としながら確実な実施と、2023年度に予定している(IV)(I)~(III)の関係調査と触覚の個性特徴情報抽出を行っていく。 また、次のステップとして高次な触覚を考えるうえで有効なサンプルなども十分に検討しながら、対象物の特徴、被験者の特徴、触覚に関わるキーワード等の抽出が行えるように備える。
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