2022 Fiscal Year Annual Research Report
Combined Micro Tactile Sensor Chip with Mechanical and Warm-cold Stimulations Mimicking Frequency and Spatial Characteristics of Human Receptors
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22H01442
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
寒川 雅之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70403128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
月山 陽介 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00533639)
神田 健介 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (20446735)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 触覚センサ / 振動覚センサ / 温冷覚センサ / マイクロヒータ / 圧電センサ / ひずみゲージ / 二酸化バナジウム / MEMS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は多周波数特性・多空間特性検知素子および温冷感検知素子の開発と、接触面分析について並行して研究を進めた。 多周波数特性検知素子については、設計や作製プロセスの改良を行い、歩留まりの向上が確認され、ひずみ抵抗と圧電素子により時間特性の異なる応答を同時に得ることに成功した。しかし、センサチップの実装時に断線が生じやすいという課題は残ったため、さらなる設計の改良を行い、試作を行っているところである。また、封止エラストマ材料や形状による周波数特性の依存性を有限要素解析および振動印加試験により分析した結果、センサの各周波数における平均的な感度は封止エラストマ材料の剛性に依存し、また、封止部の形状は感度ピークの大きさに影響することが分かった。 多空間特性検知素子については、検知素子感度の感度分布依存性を評価し、封止エラストマが薄いと最大感度が大きく、一方で厚いと最大感度は小さくなるが応答を示す面積が大きくなり、これらはトレードオフの関係にあることを見出した。このことから、検知素子によって封止厚みを変化させることによる空間特性制御の可能性を示したといえる。 温冷感検知素子については、測温抵抗の材料として、従来のAuに比べてより高い抵抗温度係数(TCR)を持つ二酸化バナジウム(VO2)を適用することを検討した。成膜条件や熱処理条件を最適化することで、安定してVO2の結晶性を示す薄膜を得ることができ、そのTCRは20000 ppm/K以上と従来の8.3倍の値を得ることができた。これにより、μmオーダのわずかな表面粗さの違いによる温冷感の違いを数秒で検知可能となった。 接触面の分析に関しては、指紋のような凹凸を設けたセンサと、凹凸を持つ対象物の接触時の応答についてデータを集め、また接触面観察手法について検討し課題を抽出し、今後の分析のための準備を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検知素子についてはまだ作成歩留まりの面で課題はあるものの、ひずみ抵抗と圧電素子の混載・同時検知には成功しており、また周波数特性・空間特性の評価分析も順調に進んでいる。温冷検知素子については、当初計画においては検知素子自体の改良は予定していなかったが、新たな材料の適用により大幅な高感度化を達成しており、計画以上に進展しているといえる。一方、接触面の分析については、接触面の観察の測定系構築に時間がかかったため、詳細な分析までには至っておらず少し遅れが生じている。これらを総合しておおむね順調に進展しているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
ひずみ抵抗・圧電素子集積検知素子については、歩留まり向上のため設計を改良して試作中であり、2023年度前半にその評価を終える予定である。周波数特性の分析については、振動印加の手法を検討し、それ自体の固有振動特性に影響されない評価が可能な測定系を構築する。また、エラストマの微小量滴下や紫外線硬化エラストマへのマスク露光による検知素子の局所的な封止により、材料特性や封止形状の制御による検知素子ごとの周波数特性・空間特性制御手法の開発を進める。 接触面の分析については、センサ応答のデータ収集と接触面観察の準備は終えたので、真実接触面積の計測や局所滑りの検出を行い、これらとセンサ応答の関係を分析していく。また、温冷検知素子による計測も行い、真実接触面積に加え、接触熱抵抗との関係性についても調べるとともに、熱回路網解析や熱流体解析と合わせて分析を進める。 2023年度後半では、上述の手法や結果をもとに、新たなセンサを設計するとともに、センサ応答から印加荷重の空間分布を取得するアルゴリズムについて開発を行う。
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