2023 Fiscal Year Annual Research Report
高出力密度アキシャルギャップ型全高温超伝導誘導電動機の基礎研究
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22H01464
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
福井 聡 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70293199)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高温超伝導誘導電動機 / 高温超伝導コイル |
Outline of Annual Research Achievements |
カゴ形誘導機の2次導体を高温超伝導線材で構成して超伝導的に短絡したHTS誘導機は,誘導機と同期機の機能を併せ持った新しい回転機である。この特徴は,回転数や容量に依存せず,また界磁励磁が不要であることから,広範囲な輸送機器応用が期待できる。本研究では,HTS線材で構成が容易なコイルを用い,高空隙磁界・高導体利用率・トルク発生面最大化を同時に実現できるトロイダル巻線固定子を用いたアキシャルギャップ型高温超伝導誘導機(HTS-AGIM)を提案する。電磁界解析とHTSの電磁的・熱的特性を考慮した等価回路解析及び負荷側機械特性を連成することによりHTS-AGIMの回転機特性の解析モデルを開発し,小型モデル機を用いた妥当性検証を行い,HTS-AGIMの電磁設計手法を構築する。よって, HTS-AGIMの基盤技術の構築に寄与することを目的としている。 2023年度は,前年度から引き続いて,特性評価用小型モデル機の開発を進めた。固定子・回転子の製作を完了した。HTS固定子の交流損失特性を実測し,測定した交流損失特性を電流依存する等価的な非線形抵抗としてモデル化した。また,前年度に作成した銅コイルのダミー巻線を用いて,巻線から冷媒への熱伝達のパラメータを測定した。更に,固定子・回転子をシャフト・軸受・フレームへの仮組を行い,各種電気定数を測定した。またFEM解析で同様の電気定数の評価を行い,測定結果と比較した。得られた電気定数を用いて,等価回路解析を行い,特性予測を行ったところ,概ね設計通りの性能が得られることが予想された。現在,モデル機の本組・試験架台へ設置を行い,回転試験を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度の当初計画では,モデル機の定常特性の評価を終了する予定であったが,試験用の3相制御電源の1ユニットが故障し,半導体不足等の影響でその修理に時間を要した。そのため,商用電源と3相電圧スライダーを用いた試験に留まった。以上より,当初計画より若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は以下の研究を遂行する予定である。 ・定常運転特性評価:2023年度に引き続き,モデル機の定常運転特性を測定する。始動-すべり運転-同期運転時のトルク・出力変化など基本的な定常運転特性を把握する。 ・特性解析手法の妥当性検証:定常運転特性評価で得られた結果に基づき,等価回路・熱・運動の連成解析モデルを行い,モデル機の運転特性を解析し,解析手法の妥当性を検証する。 ・HTS2次導体の臨界電流値を変化させた場合の検証:2次導体のHTS線材本数を変えたものを追加作製し,モデル機の回転子を換装し,出力特性の変化を実測する。特性解析モデルにより出力特性の変化を評価し,妥当性を検証する。 ・電磁設計手法の体系化の検討:上記の研究結果に基づき,特性解析手法を電磁・熱・機械系を結合した動的システムとして統合整理することを検討する。
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Research Products
(8 results)