2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Air-Core Resonance Coupling Rotary Transformer Integrated Passive Variable Flux Motor Utilizing Carrier Harmonics
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22H01467
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
青山 真大 静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (00824517)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 可変界磁 / キャリア高調波 / ダイオード整流 / 自己励磁 / 巻線界磁 / 電磁界解析 / 回転トランス / 非接触給電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者の2つの基盤技術「受動可変界磁」と「空芯非対称磁界分布」の研究成果の融合により創出された課題である。本年度は、提案する原理を小型試作機を試作して実機検証を行った。本研究の重要な要素技術は、モータ制御上不可避に発生するキャリア高調波を、受動駆動する回転トランスを介してロータ巻線に非接触給電する点である。上記を実機検証するために、電磁界解析によって回転トランスの磁気回路設計を行った。受動駆動するシステムにおいて、キャリア高調波を効率よく界磁エネルギー源に利用するためには極低インダクタンスな回転トランスとする必要がある。そのため、空芯構造を採用するが空芯構造の場合、漏れ磁束による電力伝送効率低下が懸念される。シミュレーションによってモータと組み合わせ可能で非対称磁界を形成する回転トランスを設計し、試作した。試作した回転トランスを巻線界磁形モータに組み合わせ、回転トランスの送電側は電力変換器を介することなく、電機子巻線に直接並列結線する構成とした。キャリア高調波のみが回転トランス側にバイパスするように送電側コイルはキャリア高調波を共振周波数とするLC直列共振回路を構成し、BPF(バンドパスフィルタ)によって受動的にキャリア高調波用のバイパスを構成した。試作機による実機検証では、①キャリア高調波を利用した受動可変界磁によるトルク向上、②可変速特性、③キャリア周波数可変による界磁調整を実証した。加えて、回転トランス単体での実験を行い、回転トランスを三相PWM制御で駆動させたときに空芯構造で漏れ磁束を低減しながら受動コイル側に電力伝送できることを実機で確認した。 現在、回転トランスの構造の簡素化のため、PCB(プリント基板)化の検討および、システム効率の向上のため変調方式を変更したときの性能評価の検討を行っている段階である。研究計画に対して遅れることなく実施できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画では、本研究期間3年間のうち、1年目では4Q構成で原理実証を行うとしていた。1Qでは研究代表者の過去の研究成果を基盤として本研究課題の原理を実現できる磁気回路をシミュレーションで構築、2Qでは1Qで決定した緒言に基づいた構造設計、3Qでは原理検証用試作機製作、4Qでは実機にて駆動原理の実証と性能の定量評価である。本年度の研究成果として、実施計画の4Qを全て実施することができ、研究成果を査読付き学術論文として社会発信することができた。現在は、1年目の研究成果で明らかになった課題(回転トランスの効率向上)および、当初計画の2年目実施内容(最適な制御モデルの構築)を実施している。具体的には、ハード面の取り組みとして、回転トランスの構造の簡素化のため、PCB(プリント基板)化の検討を行っている。ソフト面の取り組みとして、システム効率の向上のため変調方式を変更したときの性能評価の検討を行っている段階である。 以上の理由により、研究実施計画に対して概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画では、2年目は4Q構成とし、本研究のモータのハードポテンシャルを最大限に引き出せる最適な制御モデルの構築と実機検証を行うとしていた。1Qで回路シミュレータによる制御アルゴリズムの机上検討、2Qで制御プログラムコードの作成および実装、3Qで実機検証と駆動特性の定量評価、4Qで課題整理である。現在、1Qと2Qの実施中である。具体的には、界磁エネルギー源となるキャリア高調波が変調方式によって変化するため、トルク指令値に応じて最適な界磁調整を実現してシステム効率向上を実現できる制御方式で駆動することが望ましい。詳細には、回転トランスで構成しているBPFの共振周波数に対してキャリア周波数を変化させたときのシステム効率、トルクの関係性および、二相変調や鋸状波キャリアまたは三角波キャリアで変調したときのトルク向上効果、システム効率を評価する。 加えて、1年目の研究成果で明らかになった課題(回転トランスの効率向上)にも取り組む。構造の簡素化と効率向上を企図して回転トランスのコイルをPCBコイル化し、モータへの組付け性簡素化および電力伝送効率の向上を実現する予定である。
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