2022 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマと光の遠隔作用を利用した、形状自在な強反応場の形成
Project/Area Number |
22H01475
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中川 雄介 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (80805391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杤久保 文嘉 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (90244417)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / 光解離 / 酸素原子 |
Outline of Annual Research Achievements |
室温で化学反応性の高い大気圧プラズマは、幅広い分野への展開が期待されている。しかし大気圧プラズマ反応を支配する化学活性種(ラジカル)は寿命が短く、無効消費が多いという課題がある。そこで本研究では、①プラズマで生成した長寿命励起分子を処理対象近傍まで輸送、②高強度紫外(UV)光で長寿命励起分子を光解離してラジカルを生成、の2段階過程により、処理対象近傍の任意の位置で高反応性のラジカルを生成し、無効消費を抑制するとともに、光路に応じた自在な形状で強反応場を形成する。 2022年度は、オゾンの光解離によるO原子生成特性を解析するため、解離用レーザー強度およびオゾン濃度をパラメータとして、光解離で生じるO原子の密度および寿命を測定した。オゾン解離用レーザーには266nmのパルスレーザーを使用し、生成されたO原子の密度を二光子励起レーザー誘起蛍光法により測定した。オゾン解離用266nmレーザー強度を変化させた際、0.02-0.09mJではレーザー強度に対して生成O原子量が線形に増加した一方で、0.1mJ以上では生成O原子量が飽和した。また、オゾン濃度を変化させて生成O原子量を測定した結果、3.5×10^(15)/cc以上のオゾン濃度下で、生成O原子量が非線形に増加した。このことから、本実験系では単一光子によるオゾン光解離以外のO原子生成過程が存在する可能性がある。また、オゾン光解離で生じたO原子の寿命は約40μsであり、解離用レーザー照射領域近傍でのみO原子が作用することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オゾン光解離用高強度レーザーを準備するために繰越を要したが、高強度域以外の実験は研究申請時のスケジュール通りに進めることができた。また、高強度レーザー調達後に高強度域の実験・解析も実施しており、概ね研究申請スケジュール通りに進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書のスケジュールに則り、2023年度は光源波長依存性および樹脂親水化の実験・解析を行い、オゾン光解離によるO原子生成の解析を完了する。その後、オゾン光解離による反応場形成プログラムの構築と、O原子以外の短寿命ラジカル生成の実験的解析を実施する。
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