2022 Fiscal Year Annual Research Report
遅延ドップラーチャネルに向けたODDM変調方式に関する研究
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22H01491
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
林 海 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (40336805)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 無線通信 / 変調方式 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、主にOrthogonal delay-Doppler division multiplexing(ODDM)変調方式の中核であるdelay-Doppler(DD)平面直交パルスの存在理由を理論的に解明した。時間周波数(TF)全平面を対象としたWely-Heisenberg(WH)フレーム理論に基づき、変調設計におけるパルスに関する今までの認識では、「TF高分解能に対応する直交や双直交パルスは存在しない」とされている。しかし、現実の変調方式では信号の帯域と持続時間に制限があり、TF全平面ではなく、TF平面で与えられた一定のTF区域を考慮すれば十分である。そのため、変調設計は実際WHフレーム理論で扱わられているグローバル直交性ではなく、一定のTF区域内のローカル直交性だけを必要としている。すなわち、変調設計において、グローバル直交性は過剰条件である。DD平面直交パルスはサブパルスを等間隔に分散配置するパルス列であるため、明らかに不確定性原理に違反しない。また、DD平面直交パルスはローカル直交性を満たしているのため、WHフレーム理論にも矛盾しないことがわかる。結果的に、DD平面直交パルスの存在理由はそのローカル直交性に特定できる。ローカル直交性を詳しく分析し、その達成に必要な条件を明らかにした。さらに、パルス列を構成するルートナイキストサブパルスの持続時間の制限を取り除いた一般化DD平面直交パルスを提案し、DD平面直交パルスの周波数領域表現も導出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DD平面直交パルスの直交性解析を含めたODDM変調方式の論文は無線通信分野トップ学会誌IEEE Transactions on Wireless Communicationsに掲載済みである。グローバル直交性とローカル直交性の違いとその必要条件を解明した論文は、IEEE通信学会フラッグシップ会議であるIEEE GLOBECOMで発表済みであり、ジャーナル論文もIEEE論文誌へ投稿予定である。研究成果はいずれも有名なIEEE論文誌と国際会議に掲載また採択され、概ね順調であると判定できる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に解明したDD平面直交パルスの特性および関連成果に基づき、DD平面直交パルスに搭載する情報信号とパイロット信号の配置を考慮し、DD通信路の推定や等化方法を設計する。また、通信とセンシングの融合を念頭に、通信路の推定結果とセンシング性能の関係性を明らかにしていく。
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